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 『蓬生(大島本)

 ここには、いとど眺めまさるころにて、つくづくとおはしけるに、昼寝の夢に故宮の見えたまひければ、覚めて、いと名残悲しく思して、漏り濡れたる廂の端つ方おし拭はせて、ここかしこの御座引きつくろはせなどしつつ、例ならず世づきたまひて、
 「亡き人を恋ふる袂のひまなきに
  荒れたる軒のしづくさへ添ふ」

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  第三章 末摘花の物語 久しぶりの再会の物語  [第一段 花散里訪問途上]

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