検索結果詳細


 『薄雲(大島本)

 宮、いと苦しうて、はかばかしうものも聞こえさせたまはず。御心のうちに思し続くるに、「高き宿世、世の栄えも並ぶ人なく、心のうちに飽かず思ふことも人にまさりける身」と思し知らる。主上の、のうちにも、かかる事の心を知らせたまはぬを、さすがに心苦しう見たてまつりたまひて、これのみぞ、うしろめたくむすぼほれたることに、思し置かるべき心地したまひける。

 117/256 118/256 119/256

  第三章 藤壺の物語 藤壺女院の崩御  [第二段 藤壺入道宮の病臥]

  [Index]