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『胡蝶(大島本)』
「見そめたてまつりしは、いとかうしもおぼえたまはずと思ひしを、あやしう、ただそれかと思ひまがへらるる折々こそあれ。あはれなるわざなりけり。中将の、さらに昔ざまの匂ひにも見えぬならひに、さしも似ぬものと思ふに、かかる人もものしたまうけるよ」
とて、涙ぐみたまへり。箱の蓋なる御果物の中に、橘のあるをまさぐりて、
「橘の薫りし袖によそふれば
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第三章 玉鬘の物語 夏の雨と養父の恋慕の物語
[第三段 源氏、玉鬘を訪問し恋情を訴える]
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