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 『御法(大島本)

 仏の御前に人しげからずもてなして、のどやかに行ひたまふ。千年をももろともにと思ししかど、限りある別れぞいと口惜しきわざなりける。今は、蓮の露も異事に紛るまじく、後の世をと、ひたみちに思し立つこと、たゆみなし。されど、人聞きを憚りたまふなむ、あぢきなかりける。
 御わざのことども、はかばかしくのたまひおきつることどもなかりければ、大将の君なむ、とりもちて仕うまつりたまひける。今日やとのみ、わが身も心づかひせられたまふ折多かるを、はかなくて、積もりにけるも、の心地のみす。中宮なども、思し忘るる時の間なく、恋ひきこえたまふ。

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  第三章 光る源氏の物語 源氏の悲嘆と弔問客たち  [第三段 秋好中宮の弔問]

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