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『夢浮橋(大島本)』
「心地のかき乱るやうにしはべるほど、ためらひて、今聞こえむ。昔のこと思ひ出づれど、さらにおぼゆることなく、あやしう、いかなりける夢にかとのみ、心も得ずなむ。すこし静まりてや、この御文なども、見知らるることもあらむ。今日は、なほ持て参りたまひね。所違へにもあらむに、いとかたはらいたかるべし」
とて、広げながら、尼君にさしやりたまへれば、
「いと見苦しき御ことかな。あまりけしからぬは、見たてまつる人も、罪さりどころなかるべし」
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第二章 浮舟の物語 浮舟、小君との面会を拒み、返事も書かない
[第五段 浮舟、薫への返事を拒む]
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