検索結果詳細


 『夢浮橋(大島本)

 「心地のかき乱るやうにしはべるほど、ためらひて、今聞こえむ。昔のこと思ひ出づれど、さらにおぼゆることなく、あやしう、いかなりける夢にかとのみ、心も得ずなむ。すこし静まりてや、この御文なども、見知らるることもあらむ。今日は、なほ持て参りたまひね。所違へにもあらむに、いとかたはらいたかるべし」
 とて、広げながら、尼君にさしやりたまへれば、
 「いと見苦しき御ことかな。あまりけしからぬは、見たてまつる人も、罪さりどころなかるべし」

 137/153 138/153 139/153

  第二章 浮舟の物語 浮舟、小君との面会を拒み、返事も書かない  [第五段 浮舟、薫への返事を拒む]

  [Index]