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『賢木(大島本)』
御悩みにおどろきて、人びと近う参りて、しげうまがへば、我にもあらで、塗籠に押し入れられておはす。御衣ども隠し持たる人の心地ども、いとむつかし。宮は、ものをいとわびし、と思しけるに、御気上がりて、なほ悩ましうせさせたまふ。兵部卿宮、大夫など参りて、
「僧召せ」
など騒ぐを、大将、いとわびしう聞きおはす。からうして、暮れゆくほどにぞおこたりたまへる。
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第三章 藤壺の物語 塗籠事件
[第一段 源氏、再び藤壺に迫る]
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