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 『明石(大島本)

 入道も、人知れず待ちきこゆとて、かの家に来ゐたりけるもしるければ、御使いとまばゆきまで酔はす。
 御返り、いと久し。内に入りてそそのかせど、娘はさらに聞かず。恥づかしげなる御文のさまに、さし出でむ手つきも、恥づかしうつつまし。人の御ほど、わが身のほど思ふに、こよなくて、心地悪しとて寄り臥しぬ。

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  第二章 明石の君の物語 明石での新生活の物語  [第七段 明石の娘へ懸想文]

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