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『幻(大島本)』
つれづれなるままに、いにしへの物語などしたまふ折々もあり。名残なき御聖心の深くなりゆくにつけても、さしもあり果つまじかりけることにつけつつ、中ごろ、もの恨めしう思したるけしきの、時々見えたまひしなどを思し出づるに、
「などて、戯れにても、またまめやかに心苦しきことにつけても、さやうなる心を見えたてまつりけむ。何ごともらうらうじくおはせし御心ばへなりしかば、人の深き心もいとよう見知りたまひながら、怨じ果てたまふことはなかりしかど、一わたりづつは、いかならむとすらむ」
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第一章 光る源氏の物語 紫の上追悼の春の物語
[第二段 雪の朝帰りの思い出]
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