検索結果詳細
『常夏(大島本)』
「いかで聞きしことぞや、大臣のほか腹の娘尋ね出でて、かしづきたまふなるとまねぶ人ありしかば、まことにや」
と、弁少将に問ひたまへば、
「ことことしく、さまで言ひなすべきことにもはべらざりけるを。この春のころほひ、夢語りしたまひけるを、ほの聞き伝へはべりける女の、『われなむかこつべきことある』と、名のり出ではべりけるを、中将の朝臣なむ聞きつけて、『まことにさやうに触ればひぬべきしるしやある』と、尋ねとぶらひはべりける。詳しきさまは、え知りはべらず。げに、このころ珍しき世語りになむ、人びともしはべるなる。かやうのことにぞ、人のため、おのづから家損なるわざにはべりけれ」
14/212
15/212
16/212
第一章 玉鬘の物語 養父と養女の禁忌の恋物語
[第二段 近江君の噂]
[Index]