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 『蜻蛉(大島本)

 「隠したまひしがつらかりし」
 など、泣きみ笑ひみ聞こえたまふにも、異人よりは睦ましくあはれなり。ことことしくうるはしくて、例ならぬ御ことのさまも、おどろき惑ひたまふ所にては、御訪らひの人しげく、父大臣、兄の君たち隙なきも、いとうるさきに、ここはいと心やすくて、なつかしくぞ思されける。

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  第三章 匂宮の物語 匂宮、侍従を迎えて語り合う  [第一段 四月、薫と匂宮、和歌を贈答]

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