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『
玉鬘(大島本)
』
と言ふを聞くに、「わが並の人にはあらじ」と思ひて、物のはさまより覗けば、この男の顔、見し心地す。誰とはえおぼえず。いと若かりしほどを見しに、太り黒みてやつれたれば、多くの年隔てたる目には、ふとしも見分かぬなりけり。
「三条、ここに召す」
と呼び寄する女を見れば、また見し人なり。
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第三章 玉鬘の物語 玉鬘、右近と椿市で邂逅 [第三段 右近も初瀬へ参詣]
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