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 『橋姫(明融臨模本)

 知ろしめさじかし。このころ、藤大納言と申すなる御兄の、右衛門の督にて隠れたまひにしは、物のついでなどにや、かの御上とて、聞こしめし伝ふることもはべらむ。
 過ぎたまひて、いくばくも隔たらぬ心地のみしはべる。その折の悲しさも、まだ袖の乾く折はべらず思うたまへらるるを、かくおとなしくならせたまひにける御齢のほども、のやうになむ。

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  第三章 薫の物語 八の宮の娘たちを垣間見る  [第六段 老女房の弁の昔語り]

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