検索結果詳細
『竹河(大島本)』
「人はかうこそ、のどやかにさまよくねたげなめれ、わがいと人笑はれなる心焦られを、かたへは目馴れて、あなづりそめられにたる」など思ふも、胸痛ければ、ことにものも言はれで、例、語らふ中将の御許の曹司の方に行くも、例の、かひあらじかしと、嘆きがちなり。
侍従の君は、「この返りことせむ」とて、上に参りたまふを見るに、いと腹立たしうやすからず、若き心地には、ひとへにものぞおぼえける。
あさましきまで恨み嘆けば、この前申しも、あまり戯れにくく、いとほしと思ひて、いらへもをさをさせず。かの御碁の見証せし夕暮のことも言ひ出でて、
161/326
162/326
163/326
第三章 玉鬘の大君の物語 冷泉院に参院
[第二段 蔵人少将、藤侍従を訪問]
[Index]