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 『横笛(大島本)

 「さればよ」
 と思せど、何かは、そのほどの事あらはしのたまふべきならねば、しばしおぼめかしくて、
 「しか、人の恨みとまるばかりのけしきは、何のついでにかは漏り出でけむと、みづからもえ思ひ出でずなむ。さて、今静かに、かの夢は思ひ合はせてなむ聞こゆべき。夜語らずとか、女房の伝へに言ふなり」

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  第三章 夕霧の物語 匂宮と薫  [第五段 笛を源氏に預ける]

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