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 『若紫(大島本)

 [第一段 夏四月の短夜の密通事件]
 藤壺の宮、悩みたまふことありて、まかでたまへり。上の、おぼつかながり、嘆ききこえたまふ御気色も、いといとほしう見たてまつりながら、かかる折だにと、心もあくがれ惑ひて、何処にも何処にも、まうでたまはず、内裏にても里にても、昼はつれづれと眺め暮らして、暮るれば、王命婦を責め歩きたまふ。

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  第二章 藤壺の物語 夏の密通と妊娠の苦悩物語  [第一段 夏四月の短夜の密通事件]

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