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 『若紫(大島本)

  憂き身を覚めぬ夢になしても」
 思し乱れたるさまも、いと道理にかたじけなし。命婦の君ぞ、御直衣などは、かき集め持て来たる。
 殿におはして、泣き寝に臥し暮らしたまひつ。御文なども、例の、御覧じ入れぬよしのみあれば、常のことながらも、つらういみじう思しほれて、内裏へも参らで、二、三日籠りおはすれば、また、「いかなるにか」と、御心動かせたまふべかめるも、恐ろしうのみおぼえたまふ。

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  第二章 藤壺の物語 夏の密通と妊娠の苦悩物語  [第一段 夏四月の短夜の密通事件]

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