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 『浮舟(明融臨模本)

 「聖の名をさへつけきこえさせたまひてければ、いとよし。私の罪も、それにて滅ぼしたまふらむ。まことに、いとあやしき御心の、げに、いかでならはせたまひけむ。かねてかうおはしますべしと承らましにも、いとかたじけなければ、たばかりきこえさせてましものを。奥なき御ありきにこそは」
 と、扱ひきこゆ。
 参りて、「さなむ」とまねびきこゆれば、「げに、いかならむ」と、思しやるに、

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  第二章 浮舟と匂宮の物語 匂宮、薫の声をまねて浮舟の寝所に忍び込む  [第九段 翌朝、匂宮、京へ帰る]

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