検索結果詳細
『若紫(大島本)』
御湯殿などにも親しう仕うまつりて、何事の御気色をもしるく見たてまつり知れる、御乳母子の弁、命婦などぞ、あやしと思へど、かたみに言ひあはすべきにあらねば、なほ逃れがたかりける御宿世をぞ、命婦はあさましと思ふ。
内裏には、御物の怪の紛れにて、とみに気色なうおはしましけるやうにぞ奏しけむかし。見る人もさのみ思ひけり。いとどあはれに限りなう思されて、御使などのひまなきも、そら恐ろしう、ものを思すこと、ひまなし。
228/421
229/421
230/421
第二章 藤壺の物語 夏の密通と妊娠の苦悩物語
[第二段 妊娠三月となる]
[Index]