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 『帚木(明融臨模本)

 女、身のありさまを思ふに、いとつきなくまばゆき心地して、めでたき御もてなしも、何ともおぼえず、常はいとすくすくしく心づきなしと思ひあなづる伊予の方の思ひやられて、「夢にや見ゆらむ」と、そら恐ろしくつつまし。
 「身の憂さを嘆くにあかで明くる夜は
  とり重ねてぞ音もなかれける」

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  第三章 空蝉の物語  [第三段 空蝉の寝所に忍び込む]

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