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 『橋姫(明融臨模本)

 さて、暁方の、宮の御行ひしたまふほどに、かの老い人召し出でて、会ひたまへり。
 姫君の御後見にてさぶらはせたまふ、弁の君とぞいひける。年も六十にすこし足らぬほどなれど、みやびかにゆゑあるけはひして、ものなど聞こゆ。
 故権大納言の君の、世とともにものを思ひつつ、病づき、はかなくなりたまひにしありさまを、聞こえ出でて、泣くこと限りなし。

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   第四章 薫の物語 薫、出生の秘密を知る  [第三段 薫、弁の君の昔語りの続きを聞く]

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