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『橋姫(明融臨模本)』
「げに、よその人の上と聞かむだに、あはれなるべき古事どもを、まして、年ごろおぼつかなく、ゆかしう、いかなりけむことの初めにかと、仏にも、このことをさだかに知らせたまへと、念じつる験にや、かく夢のやうにあはれなる昔語りを、おぼえぬついでに聞きつけつらむ」と思すに、涙とどめがたかりけり。
「さても、かく、その世の心知りたる人も残りたまへりけるを。めづらかにも恥づかしうもおぼゆることの筋に、なほ、かく言ひ伝ふるたぐひや、またもあらむ。年ごろ、かけても聞き及ばざりける」とのたまへば、
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第四章 薫の物語 薫、出生の秘密を知る
[第三段 薫、弁の君の昔語りの続きを聞く]
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