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『夢浮橋(大島本)』
「さてこそあなれ」と、ほの聞きて、かくまでも問ひ出でたまへることなれど、「むげに亡き人と思ひ果てにし人を、さは、まことにあるにこそは」と思す、ほど、夢の心地してあさましければ、つつみもあへず涙ぐまれたまひぬるを、僧都の恥づかしげなるに、「かくまで見ゆべきことかは」と思ひ返して、つれなくもてなしたまへど、「かく思しけることを、この世には亡き人と同じやうになしたること」と、過ちしたる心地して、罪深ければ、
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第一章 薫の物語 横川僧都、薫の依頼を受け浮舟への手紙を書く
[第三段 薫、僧都に浮舟との面会を依頼]
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