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『東屋(大島本)』
と聞こゆ。出でたまはむことのいとわりなく口惜しきに、人目も思されぬに、右近立ち出でて、この御使を西面にて問へば、申し次ぎつる人も寄り来て、
「中務宮、参らせたまひぬ。大夫は、ただ今なむ、参りつる道に、御車引き出づる、見はべりつ」
と申せば、「げに、にはかに時々悩みたまふ折々もあるを」と思すに、人の思すらむこともはしたなくなりて、いみじう怨み契りおきて出でたまひぬ。
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第四章 浮舟と匂宮の物語 浮舟、匂宮に見つかり言い寄られる
[第四段 宮中から使者が来て、浮舟、危機を脱出]
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