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 『紫式部日記(黒川本)

と、せめたてさせたまひて、心にもあらず参う上りたり。舞姫どもの、いかに苦しからむと見ゆるに、尾張守のぞ、心地悪しがりて往ぬる、夢のやうに見ゆるものかな。こと果てて下りさせたまひぬ。
 このごろの君達は、ただ五節所のをかしきことを語る。
 「簾の端、帽額さへ心々にかはりて、出でゐたる頭つき、もてなすけはひなどさへ、さらにかよはず、さまざまになむある」

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  第一部 敦成親王誕生記  第二章 寛弘五年(一〇〇八)冬の記  【一六 二十一日寅の日、五節の舞姫、御前の試み】

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