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『紫式部日記(黒川本)』
かうまで立ち出でむとは思ひかけきやは。されど、目にみすみすあさましきものは、人の心なりければ、今より後のおもなさは、ただなれになれすぎ、ひたおもてにならむやすしかしと、身のありさまの夢のやうに思ひ続けられて、あるまじきことにさへ思ひかかりて、ゆゆしくおぼゆれば、目とまることも例のなかりけり。
【一八 二十三日辰の日、豊明節会】
侍従の宰相の五節局、宮の御前のただ見わたすばかりなり。立蔀の上より、音に聞く簾の端も見ゆ。人のもの言ふ声もほの聞こゆ。
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第一部 敦成親王誕生記
第二章 寛弘五年(一〇〇八)冬の記
【一八 二十三日辰の日、豊明節会】
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