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『明石(大島本)』
その人のことどもなど聞こえ出でたまへり。思し出でたる御けしき浅からず見ゆるを、ただならずや見たてまつりたまふらむ、わざとならず、「身をば思はず」など、ほのめかしたまふぞ、をかしうらうたく思ひきこえたまふ。かつ、「見るにだに飽かぬ御さまを、いかで隔てつる年月ぞ」と、あさましきまで思ほすに、取り返し、世の中もいと恨めしうなむ。
ほどもなく、元の御位あらたまりて、員より外の権大納言になりたまふ。次々の人も、さるべき限りは元の官返し賜はり、世に許さるるほど、枯れたりし木の春にあへる心地して、いとめでたげなり。
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第五章 光る源氏の物語 帰京と政界復帰の物語
[第一段 難波の御祓い]
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