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『若菜上(明融臨模本)』
「今はと、かけ離れたまひても、ただ同じ世のうちに聞きたてまつらましかばと、わが身までのことはうち置き、あたらしく悲しかりしありさまぞかし。さて、その紛れに、われも人も命堪へずなりなましかば、いふかひあらまし世かは」
と思し直す。
風うち吹きたる夜のけはひ冷ひかにて、ふとも寝入られたまふぬを、近くさぶらふ人びと、あやしとや聞かむと、うちも身じろきたまはぬも、なほいと苦しげなり。夜深き鶏の声の聞こえたるも、ものあはれなり。
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第六章 光る源氏の物語 女三の宮の六条院降嫁
[第五段 六条院の女たち、紫の上に同情]
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