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 『若菜上(明融臨模本)

 風うち吹きたる夜のけはひ冷ひかにて、ふとも寝入られたまふぬを、近くさぶらふ人びと、あやしとや聞かむと、うちも身じろきたまはぬも、なほいと苦しげなり。夜深き鶏の声の聞こえたるも、ものあはれなり。
 [第六段 源氏、に紫の上を見る]
 わざとつらしとにはあらねど、かやうに思ひ乱れたまふけにや、かの御夢に見えたまひければ、うちおどろきたまひて、いかにと心騒がしたまふに、鶏の音待ち出でたまへれば、夜深きも知らず顔に、急ぎ出でたまふ。いといはけなき御ありさまなれば、乳母たち近くさぶらひけり。

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  第六章 光る源氏の物語 女三の宮の六条院降嫁  [第六段 源氏、夢に紫の上を見る]

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