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 『総角(大島本)

 「思ひながらとだえあらむを、いかなるにか、と思すな。夢にてもおろかならむに、かくまでも参り来まじきを。心のほどやいかがと疑ひて、思ひ乱れたまはむが心苦しさに、身を捨ててなむ。常にかくはえ惑ひありかじ。さるべきさまにて、近く渡したてまつらむ」
 と、いと深く聞こえたまへど、「絶え間あるべく思さるらむは、音に聞きし御心のほどしるべきにや」と心おかれて、わが御ありさまから、さまざまもの嘆かしくてなむありける。

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  第四章 中の君の物語 匂宮と中の君、朝ぼらけの宇治川を見る  [第四段 匂宮と中の君、朝ぼらけの宇治川を見る]

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