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 『紫式部日記(黒川本)

 師走の二十九日に参る。初めて参りしも今宵のことぞかし。いみじくも夢路にまどはれしかなと思ひ出づれば、こよなくたち馴れにけるも、うとましの身のほどやとおぼゆ。
 夜いたう更けにけり。御物忌みにおはしましければ、御前にも参らず、心細くてうち臥したるに、前なる人びとの、
 「内裏わたりはなほいとけはひことなりけり。里にては今は寝なましものを。さもいざとき沓のしげさかな」

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  第一部 敦成親王誕生記  第二章 寛弘五年(一〇〇八)冬の記  【二一 十二月二十九日、参内、初出仕時に思いをはせる】

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