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 『玉鬘(大島本)

 「年ごろ御行方を知らで、心にかけぬ隙なく嘆きはべるを、かうて見たてまつるにつけても、夢の心地して、過ぎにし方のことども取り添へ、忍びがたきに、えなむ聞こえられざりける」
 とて、御目おし拭ひたまふ。まことに悲しう思し出でらる。御年のほど、数へたまひて、
 「親子の仲の、かく年経たるたぐひあらじものを。契りつらくもありけるかな。今は、ものうひうひしく、若びたまふべき御ほどにもあらじを、年ごろの御物語など聞こえまほしきに、などかおぼつかなくは」

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  第四章 光る源氏の物語 玉鬘を養女とする物語  [第七段 源氏、玉鬘に対面する]

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