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 『空蝉(大島本)

 こたみは妻戸を叩きて入る。皆人びと静まり寝にけり。
 「この障子口に、まろは寝たらむ。風吹きとほせ」とて、畳広げて臥す。御達、東の廂にいとあまた寝たるべし。戸放ちつる童もそなたに入りて臥しぬれば、とばかり空寝して、灯明かき方に屏風を広げて、影ほのかなるに、やをら入れたてまつる。

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  [第三段 空蝉と軒端荻、碁を打つ]

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