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 『桐壺(明融臨模本)

 「『しばしは夢かとのみたどられしを、やうやう思ひ静まるにしも、覚むべき方なく堪へがたきは、いかにすべきわざにかとも、問ひあはすべき人だになきを、忍びては参りたまひなむや。若宮のいとおぼつかなく、露けき中に過ぐしたまふも、心苦しう思さるるを、とく参りたまへ』など、はかばかしうものたまはせやらず、むせかへらせたまひつつ、かつは人も心弱く見たてつらむと、思しつつまぬにしもあらぬ御気色の心苦しさに、承り果てぬやうにてなむ、まかではべりぬる」
 とて、御文奉る。
 「目も見えはべらぬに、かくかしこき仰せ言を光にてなむ」とて、見たまふ。

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  第二章 父帝悲秋の物語  [第二段 靫負命婦の弔問]

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