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 『総角(大島本)

 夕暮の空のけしきいとすごくしぐれて、木の下吹き払ふ風の音などに、たとへむ方なく、来し方行く先思ひ続けられて、添ひ臥したまへるさま、あてに限りなく見えたまふ。
 白き御衣に、髪は削ることもしたまはでほど経ぬれど、まよふ筋なくうちやられて、日ごろにすこし青みたまへるしも、なまめかしさまさりて、眺め出だしたまへるまみ、額つきのほども、見知らむ人に見せまほし。

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  第六章 大君の物語 大君の病気と薫の看護  [第三段 中の君、昼寝の夢から覚める]

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