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 『総角(大島本)

 昼寝の君、風のいと荒きに驚かされて起き上がりたまへり。山吹、薄色などはなやかなる色あひに、御顔はことさらに染め匂はしたらむやうに、いとをかしくはなばなとして、いささかもの思ふべきさまもしたまへらず。
 「故宮のに見えたまへる、いともの思したるけしきにて、このわたりにこそ、ほのめきたまひつれ」
 と語りたまへば、いとどしく悲しさ添ひて、

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  第六章 大君の物語 大君の病気と薫の看護  [第三段 中の君、昼寝の夢から覚める]

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