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 『絵合(大島本)

 かの旅の御日記の箱をも取り出でさせたまひて、このついでにぞ、女君にも見せたてまつりたまひける。御心深く知らで今見む人だに、すこしもの思ひ知らむ人は、涙惜しむまじくあはれなり。まいて、忘れがたく、その世の夢を思し覚ます折なき御心どもには、取りかへし悲しう思し出でらる。今まで見せたまはざりける恨みをぞ聞こえたまひける。
 「一人ゐて嘆きしよりは海人の住む
  かたをかくてぞ見るべかりける

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  第二章 後宮の物語 中宮の御前の物語絵合せ  [第二段 源氏方、須磨の絵日記を準備]

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