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『明石(大島本)』
「入道は、かの国の得意にて、年ごろあひ語らひはべりつれど、私に、いささかあひ恨むることはべりて、ことなる消息をだに通はさで、久しうなりはべりぬるを、波の紛れに、いかなることかあらむ」
と、おぼめく。君の、御夢なども思し合はすることもありて、「はや会へ」とのたまへば、舟に行きて会ひたり。「さばかり激しかりつる波風に、いつの間にか舟出しつらむ」と、心得がたく思へり。
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第一章 光る源氏の物語 須磨の嵐と神の導きの物語
[第四段 明石入道の迎えの舟]
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