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『総角(大島本)』
「日ごろ見たてまつりたまひつらむ御心地も、やすからず思されつらむ。今宵だに、心やすくうち休ませたまへ。宿直人さぶらふべし」
と聞こえたまへば、うしろめたけれど、「さるやうこそは」と思して、すこししぞきたまへり。
直面にはあらねど、はひ寄りつつ見たてまつりたまへば、いと苦しく恥づかしけれど、「かかるべき契りこそはありけめ」と思して、こよなうのどかにうしろやすき御心を、かの片つ方の人に見比べたてまつりたまへば、あはれとも思ひ知られにたり。
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第六章 大君の物語 大君の病気と薫の看護
[第六段 薫、大君を看護する]
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