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 『若菜上(明融臨模本)

 など聞こえ、紛らはしたまふ。別れけむ暁のことも、夢の中に思し出でられぬを、「口惜しくもありけるかな」と思す。
 [第五段 三月十日過ぎに男御子誕生]
 弥生の十余日のほどに、平らかに生まれたまひぬ。かねてはおどろおどろしく思し騷ぎしかど、いたく悩みたまふことなくて、男御子にさへおはすれば、限りなく思すさまにて、大殿も御心落ちゐたまひぬ。

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  第十章 明石の物語 男御子誕生  [第五段 三月十日過ぎに男御子誕生]

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