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 『若菜上(明融臨模本)

 この一つの思ひ、近き世にかなひはべりぬれば、はるかに西の方、十万億の国隔てたる、九品の上の望み疑ひなくなりはべりぬれば、今はただ迎ふる蓮を待ちはべるほど、その夕べまで、水草清き山の末にて勤めはべらむとてなむ、まかり入りぬる。
  光出でむ暁近くなりにけり
  今ぞ見し世の夢語りする」

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  第十一章 明石の物語 入道の手紙  [第二段 入道の手紙]

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