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『浮舟(明融臨模本)』
とのみ書きて出だしつ。「かの殿にも、今はのけしき見せたてまつらまほしけれど、所々に書きおきて、離れぬ御仲なれば、つひに聞きあはせたまはむこと、いと憂かるべし。すべて、いかになりけむと、誰れにもおぼつかなくてやみなむ」と思ひ返す。
京より、母の御文持て来たり。
「寝ぬる夜の夢に、いと騒がしくて見たまひつれば、誦経所々せさせなどしはべるを、やがて、その夢の後、寝られざりつるけにや、ただ今、昼寝してはべる夢に、人の忌むといふことなむ、見えたまひつれば、驚きながらたてまつる。よく慎ませたまへ。
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第七章 浮舟の物語 浮舟、匂宮にも逢わず、母へ告別の和歌を詠み残す
[第七段 京から母の手紙が届く]
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