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『手習(大島本)』
「我もまた初めよりありしさまのこと聞こえそめざりしかば、聞きて後も、なほをこがましき心地して、人にすべて漏らさぬを、なかなか他には聞こゆることもあらむかし。うつつの人びとのなかに忍ぶることだに、隠れある世の中かは」
など思ひ入りて、「この人にも、さなむありし」など、明かしたまはむことは、なほ口重き心地して、
「なほ、あやしと思ひし人のことに、似てもありける人のありさまかな。さて、その人は、なほあらむや」
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第六章 浮舟の物語 薫、浮舟生存を聞き知る
[第六段 小宰相、薫に僧都の話を語る]
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