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 『若菜上(明融臨模本)

 など、涙おし拭ひたまひつつ、この夢のわたりに目とどめたまふ。
 「あやしくひがひがしく、すずろに高き心ざしありと人も咎め、また我ながらも、さるまじき振る舞ひを、仮にてもするかな、と思ひしことは、この君の生まれたまひし時に、契り深く思ひ知りにしかど、目の前に見えぬあなたのことは、おぼつかなくこそ思ひわたりつれ、さらば、かかる頼みありて、あながちには望みしなりけり。

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  第十二章 明石の物語 一族の宿世  [第五段 源氏の感想]

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