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 『若紫(大島本)

 僧都、世の常なき御物語、後世のことなど聞こえ知らせたまふ。我が罪のほど恐ろしう、「あぢきなきことに心をしめて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり。まして後の世のいみじかるべき」。思し続けて、かうやうなる住まひもせまほしうおぼえたまふものから、昼の面影心にかかりて恋しければ、
 「ここにものしたまふは、誰れにか。尋ねきこえまほしきを見たまへしかな。今日なむ思ひあはせつる」
 と聞こえたまへば、うち笑ひて、

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  第一章 紫上の物語 若紫の君登場、三月晦日から初夏四月までの物語  [第四段 若紫の君の素性を聞く]

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