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 『末摘花(大島本)

 いとつつましげに思したれど、かやうの人にもの言ふらむ心ばへなども、に知りたまはざりければ、命婦のかう言ふを、あるやうこそはと思ひてものしたまふ。乳母だつ老い人などは、曹司に入り臥して、夕まどひしたるほどなり。若き人、二、三人あるは、世にめでられたまふ御ありさまを、ゆかしきものに思ひきこえて、心げさうしあへり。よろしき御衣たてまつり変へ、つくろひきこゆれば、正身は、何の心げさうもなくておはす。

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  第一章 末摘花の物語  [第五段 秋八月二十日過ぎ常陸宮の姫君と逢う]

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