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 『薄雲(大島本)

 はつかに、飽かぬほどにのみあればにや、心のどかならず立ち帰りたまふも苦しくて、「のわたりの浮橋か」とのみ、うち嘆かれて、箏の琴のあるを引き寄せて、かの明石にて、小夜更けたりし音も、例の思し出でらるれば、琵琶をわりなく責めたまへば、すこし掻き合はせたる、「いかで、かうのみひき具しけむ」と思さる。若君の御ことなど、こまやかに語りたまひつつおはす。

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  第二章 源氏の女君たちの物語 新春の女君たちの生活  [第三段 源氏、大堰山荘から嵯峨野の御堂、桂院に回る]

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