検索結果詳細
『明石(大島本)』
「さらに、背きにし世の中も取り返し思ひ出でぬべくはべり。後の世に願ひはべる所のありさまも、思うたまへやらるる夜の、さまかな」
と泣く泣く、めできこゆ。
わが御心にも、折々の御遊び、その人かの人の琴笛、もしは声の出でしさまに、時々につけて、世にめでられたまひしありさま、帝よりはじめたてまつりて、もてかしづきあがめたてまつりたまひしを、人の上もわが御身のありさまも、思し出でられて、夢の心地したまふままに、かき鳴らしたまへる声も、心すごく聞こゆ。
98/331
99/331
100/331
第二章 明石の君の物語 明石での新生活の物語
[第五段 源氏、入道と琴を合奏]
[Index]