鏡花作品の語彙検索(KWIC)

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『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

綿片《わたぎれ》もあるのではないが、薄月が映すともなしに、ぼっと、その仔雀の身に添っ :14/143
》は白い。一輪の桔梗《ききょう》の紫の影に映えて、女はうるおえる玉のようであった。  :122/143


『絵本の春』 青空文庫

姿も、川も、たそがれに油を敷いたように目に映る。……                 :71/84


『縁結び』 青空文庫

》った目がうつくしく、その俤《おもかげ》が映りそう。                 :138/405
            山の端《は》の月に映《えい》じて、ただ独り彳《たたず》みたり :293/405
しらはぎ》とかつ、緋《ひ》の裳《もすそ》を映した。二人は額堂を出たのである。     :315/405


『古狢』 青空文庫

》ではない。よって件《くだん》の古外套で、映画の台本や、仕入ものの大衆向で、どうにか :24/310
の光は、足許《あしもと》の地《つち》に影を映射《うつ》して、羽織の栗梅《くりうめ》が :29/310
から、明《あかり》取りかと思ったっけ。……映画の明取りはちと変だね。どうかしている。 :41/310
売店の壜《びん》に、瞳が蝶のようにちらりと映って、レッテルの桜に白い頬がほんのりする :54/310
かわせみ》の影が駒下駄を辷《すべ》ってまた映る……片褄端折《かたづまはしょり》に、乾 :90/310
ま》の色が露に辷《すべ》って、こぼれ松葉へ映るのは、どんなにか媚《なまめ》かしかろう :152/310
のが、苦痛にゆがめて噛緊《かみし》める唇が映って透くようで、涙は雪が溶けるように、頸 :201/310
ている――ははあ、大きな湯の字か。こん度は映画と間違えなかった。しかし、誰も居ないが :244/310
》えたのに、青桐《あおぎり》の葉が枯れつつ映っていた。月も十五に影を宿すであろう。出 :246/310


『五大力』 従吾所好

日月もかけず、柳の影を、華奢な骸骨のやうに映しながら、びしや/\と溢れかゝつて、其が :243/1139
と、其の櫛巻の毛筋も、且つ油に艶やかに瞳に映つた。                  :326/1139
         前に又一筋、水明りが遙に映〈さ〉した。……板塀の影も筏のやうな、其 :358/1139
がかゝる風に、岸の火影がさら/\と靄越しに映りながら、ふら/\と流れて行く。……   :439/1139
が、水を抽〈ぬ〉いて見上げるやうでね、霧に映つて、影が、手を伸ばすと届きさうだ……で :448/1139
フツと吹く……とぼツと車の泥障〈あふり〉に映つて消える。               :669/1139
、角家の低い軒の瓦斯燈に、胸はづれを幽かに映しながら、上から下りるやうに曲つて、霜の :735/1139
、雲の如き下髪〈さげがみ〉の描ける額を宙に映す。……                 :765/1139
と、深き楽屋の大姿見に、二人の姿がちらりと映つて、其から、やがて橋がかりを手を曳いた :1086/1139
晃々として絶壁紺青の怪しき巌に仙境の月幽に映して、裂目の草を射る中から、五個の顔が差 :1092/1139
を、はあ、冴えたる月かな。それ/\俤が波に映るわ、御覧ぜい。山田矢瀬〈やばせ〉の渡し :1101/1139
                  水面に映す、其の俤は尊かつた。          :1105/1139
              「おゝ、舞台に映つた、私の素面が美しいか。むゝ美しいな。 :1109/1139
りと開いて、差寄すれば、金色の雲にきらりと映る、花の霞の暮れ行く顔が、瞼に颯と色を染 :1110/1139
と、古稀を過ぎた若旦那、健かに腰を切つて、映るを見よとか、姿見に、舞扇子を屹と霞に向 :1112/1139


『半島一奇抄』 青空文庫

葉に、ぱらぱらと露を丸く吸ったのが水の中に映るのですが――浮いて通るその緋色《ひいろ :61/129
意に顔を見合わせた目に、歴々《ありあり》と映ると思う、その隙もなかった。       :63/129
》に蘆《あし》の湖《こ》を泳ぐ馬が、ここへ映ったと思ったとしてもよし、軍書、合戦記の :66/129
て、浜の小雨は貝殻をたたいて、暗い月が砂に映ったのです。(まだあるか、)と仰向《おあ :90/129
道《トンネル》の中へ押立《おった》った耳が映ったようだね。」             :106/129


『雛がたり』 青空文庫

  薄暗い白昼《まひる》の影が一つ一つに皆映る。                   :42/58
、何処のか座敷から柳の梢を倒《さかさま》に映る雛壇の影かも知れない。夢を見るように、 :47/58


『星あかり』 泉鏡花を読む

り、湿臭い塔婆を掴んだり、花筒の腐水に星の映るのを覗いたり、漫歩をして居たが、藪が近 :6/36


『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

と》ひそかに跟け行けども、日は傾きて影も射映《さゝ》ねば、少しも心着かざりけり。   :41/219
たる姿見に、不図《ふと》我顔《わがかほ》の映るを見れば、頬の三日月露れ居たるにぞ、心 :45/219
取出し、好く顔に彩《いろど》りて、懐中鏡に映し見れば、我ながら其巧妙《たくみ》なるに :45/219
を取出せば、きらりと輝く照魔鏡に怪しき人影映りけるにぞ、はつと鏡を取落せり。     :61/219
ひ》に鏡を見る時、後に近接《ちかづく》曲者映りて、さてはと用心したればこそ身を全《ま :62/219


『海神別荘』 華・成田屋

なる碧瑠璃の天井を、髪艶やかに打仰ぐ)姿を映します。ああ、風情な。美しいと視めました :11/369
白い尾花の穂を散らした、山々の秋の錦が水に映ると同じに、こうと思えば、ついそれなりに :13/369
せば、瞬く間ものう、お姿見の中の御馬の前に映りまする神通(じんずう)を、お忘れなされ :163/369


『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

夏草の茂りに蔽《おお》われたのに、雲の影が映って暗い。                :5/257
  御柱《みはしら》を低く覗《のぞ》いて、映画か、芝居のまねきの旗の、手拭《てぬぐい :21/257
りと附くと、羽に点《とも》れたように灯影が映る時、八十年《やそとし》にも近かろう、皺 :63/257
色の河童の痴《たわ》けた目にも、女の肉とは映るまい。                 :124/257
に、銀色の染まるばかり、艶々《つやつや》と映った時、山鴉《やまがらす》の嘴太《はしぶ :125/257


『木の子説法』 青空文庫

し鷺の姿は、近ごろ狂言の流《ながれ》に影は映らぬと聞いている。古い隠居か。むかしもの :26/231
の不作法さは、場所にはよろうが、芝居にも、映画場にも、場末の寄席にも比較しようがない :61/231
知れましょうが、講談本にも、探偵ものにも、映画にも、名の出ないほどの悪徒なんですから :95/231


『高野聖』 泉鏡花を読む

黒い、滑かな大きな石へ蒼味を帯びて透通つて映るやうに見えた。             :334/622
。恰も何よ、それ畜生道の地獄の絵を、月夜に映したやうな怪しの姿が板戸一重、魑魅魍魎と :532/622


『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

ながらこの葦簀の蔭が、格子縞のように御袖へ映って、雪の膚まで透通って、四辺《あたり》 :228/1510
お持ちなさりました指の尖へ、ほんのりと蒼く映って、白いお手の透いた処は、大《おおき》 :266/1510
所為か、逢魔が時に茫として、庄屋様の白壁に映して見ても、どれが孫やら、倅やら、小女童 :348/1510
乗出して、母衣《ほろ》を倒《さかさ》に水に映した。                  :467/1510
ぼん球ではねえよ。真丸な手毬の、影も、草に映ったでね。」               :518/1510
青田に透く。川下の其方は、藁屋続きに、海が映って空も明い。――水上の奥になるほど、樹 :545/1510
静に吸いつけた煙草の火が、その色の白い頬に映って、長い眉を黒く見せるほど室《ま》の内 :647/1510
        と申せば、庭先の柿の広葉が映る所為で、それで蒼白く見えるんだから、気 :683/1510
                     映る手なんざ、水へ突込んでるように、畝った :720/1510
、向かわって、また私の足の出途《でさき》へ映りましたが、兎はくるくると寝転びながら、 :880/1510
び寄ったはじめから、目前《めさき》に朦朧と映ったのであったが、立って丈長き葉に添うよ :1192/1510
             飜然《ひらり》と映って、行燈へ、中から透いて影がさしたのを :1255/1510
頭の毛の総髪も、鮮麗《あざやか》になお目に映る。                   :1383/1510
 明さんの迷った目には、煤も香を吐く花かと映り、蜘蛛の巣は名香の薫が靡く、と心時《こ :1443/1510
前へ、薄色のお召物で、笄がキラキラと、星に映って見えましょう。            :1450/1510


『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

と明く成る。影が痣に成つて、巴が一つ片頬に映るやうに陰気に沁込む、と思ふと、ばちやり :140/330
板敷きの濡れたのに目の加減で、向うから影が映したものであらう。はじめから、提灯が此処 :178/330


『泉鏡花自筆年譜』 泉鏡花を読む

、「売色鴨南蛮」を人間に。六月の頃と覚ゆ、映画の事により、谷崎潤一郎氏と会す、芥川龍 :41/50


『日本橋』 青空文庫

 盛の牡丹の妙齢ながら、島田髷の縺れに影が映す……肩揚を除ったばかりらしい、姿も大柄 :12/2195
     そこに紅梅の風情は無いが、姿見に映る、江一格子の柳が一本。湯上りの横櫛は薄 :320/2195
清葉の目に、色糸を颯と投げたか、とはらりと映って、稲妻のごとく瞳を射つつ沈んで輝く光 :373/2195
、何の花か、淡い絵具も冷たそうに、床の柱に映るのが見える。              :382/2195
も過ぎた屋根越に、向う角の火災保険の煉瓦に映る、縁結びの紅い燈は、あたかも奥庭の橋に :502/2195
濠電車のキリキリ軋んで通るのさえ、池の水に映って消える長廊下の雪洞の行方に擬う。   :504/2195
…それと見て、つかつかと、小刻みながら影が映す、衣の色香を一目見ると、じたじたとなっ :1047/2195
見る形に、姉が顔を合せると、そこへ雪明りが映して蒼くなるように思ったよ。姉が熟と視め :1244/2195
袢の絞が濃いので、乳の下、鳩尾、窪みに陰の映すあたり、鮮紅に血汐が染むように見えた― :1266/2195
の上なる一つ橋、二十の橋は一斉に面影を霞に映す。橋の名所の橋の上。九百九十九の電燈の :1435/2195
間も無く、雨戸が一枚、すっと開いて、下から映す蒼い瓦斯を、逆に細流を浴びたごとく濡萎 :1957/2195


『人魚の祠』 青空文庫

しよ》に動いて、時々、てら/\と天に薄日が映《さ》すと、其の光を受けて、晃々《きら/ :46/122
《かつ》いで居るのです。岸に、葉と花の影の映る処は、松葉が流れるやうに、ちら/\と水 :50/122
釣つたのが、一種の蜃気楼の如き作用で此処へ映つたのかも分りません。余り静《しづか》な :68/122
に沈んで、裂目に燕子花《かきつばた》の影が映《さ》し、破れた底を中空の雲の往来《ゆき :72/122
が、水に流れて、柳を翠の姿見にして、ぽつと映つたやうに、人の影らしいものが、水の向う :101/122


『婦系図』 青空文庫

の濡色輝いて、広重の絵を見る風情、柳の影は映らぬが、河岸の朝の月影は、まだその鱗に消 :80/3954
だ、め組は蓮葉《はすっぱ》帽子の中から、夕映《ゆうやけ》のような顔色。        :197/3954
めに水澄んで、霞をかけたる蒼空が、底美しく映るばかり。先祖が乙姫に恋歌して、かかる処 :434/3954
ンの色が、蝶々の翼薄黄色に、ちらちらと先ず映って、矢車を挿込むと、五彩の露は一入《ひ :447/3954
絵が鬼の手の機関《からくり》で、月なき辻へ映るのである。               :947/3954
し高目なお太鼓の帯の後姿が、あたかも姿見に映ったれば、水のように透通る細長い月の中か :1270/3954
          と雫を払った、硯は顔も映りそう。熟《じっ》と見て振仰いで、    :1844/3954
                   水に映った主税の色は、颯と薄墨の暗くなった。あ :1857/3954
りて》はただこの二人の影のちらちらと分れて映るばかり、十四五人には過ぎないのであった :2120/3954
のに同情したために、自然《おのず》から気が映ってなったらしく、女の児と同一《おなじ》 :2287/3954
と驚いたその目の色まで、歴然《ありあり》と映っている。                :2323/3954
きに頸《うなじ》を捻《ね》じて、衣紋つきを映した時、早瀬が縁のその棚から、ブラッシを :2426/3954
やか》で、青葉越に緋鯉の躍る池の水に、影も映りそうに彳んだが、手巾《ハンケチ》を振っ :2529/3954
澄んだけれども、まだ歴々《ありあり》と瞳に映る。                   :2720/3954
に当てて、頤深く熟《じっ》と圧えた、浴衣に映る紫栄えて、血を吐く胸の美しさよ。    :2879/3954
曝《あまざれ》の木目の高い、門の扉《と》に映って、蝙蝠《こうもり》の影にもあらず、空 :3426/3954
しに……続いて雪のような衣紋が出て、それと映合《うつりあ》ってくッきりと黒い鬢が、や :3428/3954
炎に燃えつと見えたのは、膚《はだえ》の雪に映る火をわずかに襦袢に隔てたのであった。ト :3521/3954
          さて母屋の方は、葉越に映る燈《ともしび》にも景気づいて、小さいの :3591/3954
めぐ》って消えたのは、どこかの電燈が閃いて映ったようでもあるし、蛍が飛んだようにも思 :3680/3954


『龍潭譚』 青空文庫

にあかくなり、くらうなりて、ちらちらと眼に映ずる雪なす膚《はだえ》白かりき。     :93/186


『春昼』 泉鏡花を読む

が通ひ、足踏みをした女房の胸にも、海の波は映らぬらしい。               :55/628
を覗くやうな円い海の硝子へ――ぱつと一杯に映つて、とき色の服の姿が浪の青いのと、巓の :345/628
ら見る、霧の下だの、暗の浪打際、ぼうと灯が映る処だの、恁やうに山の腹を向うへ越した地 :531/628
て、其の靄に、ぼうと遠方の火事のやうな色が映つて居て、篝でも焼いて居るかと、底澄んで :562/628
がりに次第に色が濃うなつて、向うの山かけて映る工合が直き目の前で燃して居る景色――尤 :565/628


『天守物語』 泉鏡花を読む

(其の水色の袖を圧《おさ》ふ)其の袖に影が映つた。影が、結んだ玉づさのやうにも見えた :94/480


『歌行燈』 従吾所好

りで、恁う酌いだ酒へ、蝋燭の灯のちら/\と映る処は、何うやら餓鬼に手向けたやうだ。あ :256/744
               と言ふ、瞼に映つて、蝋燭の火がちら/\とする。     :261/744
燈にほのめいて、二枚見えた。真中へ、ぱつと映つたのが、大坊主の額の出た、唇の大い影法 :449/744
でるのが華奢らしい島田髷で、此の影は、濃く映つた。                  :449/744
持上げたのが見えて、離れて煙管〈きせる〉が映る。――最う一倍、其の時図体が拡がつたの :451/744
乱れた襦袢の袖を銜えた、水紅色〈ときいろ〉映る瞼のあたり、ほんのりと薄くして、    :590/744
褪せた色は、膚薄な胸を透かして、動悸が筋に映るやう、あはれ、博多の柳の姿に、土蜘蛛一 :705/744


『夜行巡査』 青空文庫

聞こえやせんと、心を置きて振り返れる、眼に映ずるその人は、……夜目にもいかで見紛うべ :85/164


『薬草取』 青空文庫

。草の緑が深くなって、倒《さかさま》に雲に映《うつ》るか、水底《みなそこ》のような天 :72/283
巻《きょうかん》に、蒼く月かと思う草の影が映《うつ》ったが、見つつ進む内に、ちらちら :269/283
》ちらめき、瞶《みつ》むる瞳《ひとみ》に緑映《えい》じて、颯《さっ》と分れて、一つ一 :270/283


『夜叉ヶ池』 青空文庫

うした処は、咲残った菖蒲を透いて、水に影が映《さ》したようでなお綺麗だ。       :38/564
ほのお》で取巻いた。夜叉《やしゃ》ヶ池へも映るらしい。ちょうどその水の上あたり、宵の :52/564
《かやや》の低き納戸の障子に灯影《ほかげ》映る。                   :82/564
その影は、深く夜叉ヶ池の碧潭《へきたん》に映ると云う。……撞木《しゅもく》を当てて鳴 :200/564
の草も綾《あや》を織って、目に蒼《あお》く映ったと思え。……伴侶《つれ》が非常に感に :474/564


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 佐藤和雄(蟻) 2000.9.29