鏡花作品の語彙検索(KWIC)

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『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

        いつかは、何かの新聞で、東海道の何某《なにがし》は雀うちの老手である :64/143


『絵本の春』 青空文庫

路ばかりが、漫々として波の静《しずか》な蒼海《そうかい》に、船脚を曳《ひ》いたように :9/84
して、流《ながれ》の末一里有余《あまり》、海へ出て、暑さに泳いだ豪傑がある。     :82/84
                    荒海の磯端《いそばた》で、肩を合わせて一息し :83/84


『古狢』 青空文庫

あら、山の中だって、おじさん、こちらにも、海も、湖も、大きなのがありますわ。」    :26/310
               湖は知らず、海に小さなのといっては断じてあるまい。何し :27/310
ある。丘を隔てて、一条《ひとすじ》青いのは海である。                 :28/310
ないが、来がけに一晩保養をしたがね。真北の海に向って山の中腹にあるんだから、長い板廊 :114/310
び》は結構だったし、赤蜻蛉《あかとんぼ》に海の夕霧で、景色もよかったが、もう時節で、 :114/310


『義血侠血』 青空文庫

良家の女子とは思い懸けざりき、寡なくとも、海に山に五百年の怪物たるを看破したりけれど :382/706


『五大力』 従吾所好

らかした小弥太は、能楽界に名だたる宿老、新海孫六兵衛の甥に当る。           :216/1139
                    蒼海漫々として、乙姫だと、蓑亀と云ふ処を、深 :411/1139
所為〈せい〉か、皆、船の中にこびりついて、海鼠か、古綿が乗つてるやうだつた。     :455/1139
たやうなが、つぶ/\と靄に泡を立てて、其の海鼠、古綿の形で唱へる。……        :463/1139
     此の間に矢右衛門狐は、つるり、と海鼠腸をして遣つた。唇を嘗め/\、何か寂し :843/1139
           就中〈なかにも〉、新海孫六兵衛が七十五歳の端麗さよ。      :1078/1139


『半島一奇抄』 青空文庫

四郎の江間、長塚を横ぎって、口野、すなわち海岸へ出るのが順路であった。……      :10/129
がら、お客様と話で夢中だった。――」「何、海岸まわりは出来ないのですかね。」「いいえ :12/129
、上の鷲頭山《わしずやま》に包まれて、この海岸は、これから先、小海《こうみ》、重寺《 :16/129
ま》に包まれて、この海岸は、これから先、小海《こうみ》、重寺《しげでら》、口野などと :16/129
              自動車は、既に海に張出した石の欄干を、幾処《いくところ》 :20/129
掛けたんですが――これがずッとそれ、昔の東海道、箱根のお関所を成りたけ早めに越して、 :55/129
もう分ったでしょう。欄干に凭《もた》れて東海道を覗いた三島宿の代表者。……これが生得 :79/129
、実に驚きましたな……三島一と言いながら、海道一の、したたかな鼠ですな。」      :80/129
ちょうど、昨年、その頃です。江の浦口野の入海《いりうみ》へ漾《ただよ》った、漂流物が :85/129
なると、大袈裟《おおげさ》ではありません、海岸三里四里の間、ずッと静浦《しずうら》の :86/129
で、浜方でも相談して、はじめ、寄り着かれた海岸近くに、どこか思召しにかなった場所はな :92/129
ぐには、何より、石の扉をしめて祭りました。海で拾い上げたのが巳《み》の日だった処から :92/129
         途中では、遥《はるか》に海ぞいを小さく行《ゆ》く、自動車が鼠の馳《 :117/129
うに草が騒いだ。たちまち道を一飛びに、鼠は海へ飛んで、赤島に向いて、碧色《へきしょく :124/129


『蛇くひ』 青空文庫

まちはづれ》の樹林境を為し、南《みなみ》は海に到りて尽き、北は立山《りふざん》の麓に :3/35
《りふざん》の方より、或時は神通川を日没の海より溯り、榎の木蔭に会合して、お月様と呼 :16/35
の馬車に揺られ、再び汽車にて直江津に達し、海路一文字に伏木に至れば、腕車十銭富山に赴 :29/35


『雛がたり』 青空文庫

に轟々《ごうごう》と鳴通《なりとお》した荒海の浪の響《ひびき》も、春風の音にかわって :10/58
くろこそで》、浅葱《あさぎ》の襟《えり》。海のもの、山のもの。筍《たかんな》の膚《は :19/58


『星あかり』 泉鏡花を読む

にもない。なか/\気が晴々しないから、一層海端へ行つて見ようと思つて、さて、ぶら/\ :9/36
のうらおもてに、ちら/\と灯が見えたのを、海浜の別荘で花火を焚くのだといひ、否、狐火 :11/36
暗黒の色を帯び、伊豆の七島も見ゆるといふ蒼海原は、さゝ濁に濁つて、果なくおつかぶさつ :27/36
に唯一人、やがて星一つない下に、果のない蒼海の浪に、あはれ果敢い、弱い、力のない、身 :28/36
まで透間もなく追縋ツた、灰汁を覆したやうな海は、自分の背から放れて去つた。      :31/36


『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

れて遠山の麓に靄薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の茜に染《そ》みて、遠近《をちこち :5/219
、亭主に向ひて声低く、「実は、横須賀のさる海軍士官の令嬢が、江の島へ参詣に出懸けたま :106/219


『海神別荘』 華・成田屋

              侍女一  度々海の上へお出でなさいますもの、よく御存じで :9/369
             僧都  いや、荒海を切って影を顕すのは暴風雨(あらし)の折 :10/369
とく掌を挙げて制す)何とも相済まぬ儀じゃ。海の住居の難有さに馴(な)れて、蔭日向(か :15/369
)容色(きりょう)、世に類なき一人の娘を、海底に捧げ奉る段、しかと誓いました。すなわ :30/369
付く)不重宝(ぶちょうほう)。これはこれは海松(みる)ふさの袖に記して覚えのまま、潮 :38/369
を、老人の申条(もうしじょう)、はや、また海松(みる)のように乱れました。ええええ、 :49/369
                侍女二  海では何ほどの事でもございませんが、受取り :53/369
とあみ)にもせい、人間夥間(なかま)が、大海原(おおうなばら)から取入れます獲ものと :54/369
までにもなけれども、小船一つで網を打つが、海月(くらげ)ほどにしょぼりと拡げて、泡に :54/369
(なか)でさえ、自分ばかりは、思い懸けない海の幸を、黄金(こがね)の山ほど〓(つかみ :57/369
難渋どときはいささかも気にも留めませぬに、海のお世子(よとり)であらせられます若様。 :57/369
)の命などは御免だな。そんな魂を引取ると、海月(くらげ)が殖えて、迷惑をするよ。   :62/369
は深い方にござります。一人娘の身に代えて、海の宝を望みましたは、慾念の逞(たくまし) :66/369
れて、波にながされました時、父親の約束で、海の中へ捕られて行く、私へ供養のためだと云 :79/369
と見えますのは、これから貴女がお出遊ばす、海の御殿でございます。あれへ、お迎え申すの :86/369
  あの、捨小舟(すておぶね)に流されて、海の贄(にえ)に取られて行く、あの、(〓( :89/369
かしい。・・・おお、五十三次と承ります、東海道を十度ずつ、三百度、往還り(ゆきかえり :92/369
          美女  潮風、磯の香、海松(みる)、海藻(かじめ)の、咽喉(のど :95/369
   美女  潮風、磯の香、海松(みる)、海藻(かじめ)の、咽喉(のど)を刺す硫黄の :95/369
  人間の魂が、貴女を慕うのでございます。海月が寄るのでございます。         :96/369
            美女  人の魂が、海月と云って?               :97/369
                 女房  海に参ります醜い人間の魂は、皆、海月になっ :98/369
 女房  海に参ります醜い人間の魂は、皆、海月になって、ふわふわさまようて歩行(ある :98/369
う。――それが何の刑罰になるのですか。陸と海と、国が違い、人情が違っても、まさか、そ :114/369
けて、現在、殊にそのお七のごときは、姉上が海へお引取りになった。刑場の鈴ヶ森は自然海 :147/369
が海へお引取りになった。刑場の鈴ヶ森は自然海に近かった。姉上は御覧になった。鉄の鎖は :147/369
甘露が沖を曇らして注いだのだった。そのまま海の底へお引取りになって、現に、姉上の宮殿 :147/369
りになった。けれども、その魂は、途中で牡の海月になった。――時々未練に娘を覗いて、赤 :148/369
まして。若様、唯今の仰せは、それは、すべて海の中にのみ留まりまするが。        :149/369
いや、若様。あれは水晶の数珠にございます。海に沈みまする覚悟につき、冥土に参る心得の :153/369
若様には、新夫人(にいおくさま)の、まだ、海にお馴れなさらず、御到着の遅いばかり気に :163/369
博士がおきたる書を披きつつ)、女のくにの東海道、道中の唄だ。何とか云うのだった。この :169/369
をお拵えになったよ。ああ、何とか云った、東海道の。                  :169/369
枚(ペエジ)に出た。――箱根を越えて伊豆の海、三島の里の神垣や――さあ、忘れた処は教 :176/369
――ただ一人(いちにん)の娘を捧ぐ、・・・海の幸を賜われ――貴女の親は、既に貴女の仇 :241/369
けない。ともにこの鎧に包まるる内は、貴女は海の女王なんだ。放縦に大胆に、不羈、専横に :241/369
(はくしん)を抱(いだ)かれ包まれて、渡津海(わたつみ)の広さを散歩しても、あえて世 :241/369
(起直(おきなお)り、会釈す)・・・父へ、海の幸をお授け下さいました、津波のお強さ、 :242/369
た、津波のお強さ、船を覆して、ここへ、遠い海の中をお連れなすった、お力。道すがらはま :242/369
     公子  あるのを知らないのです。海底の琅〓(ろうかん)の宮殿に、宝蔵の珠玉 :253/369
わない。ただ陸(くが)は貴い。けれども我が海は、この水は、一畝(ひとうね)りの波を起 :255/369
      美女  いいえ、ですが、もう、海の幸も、枝珊瑚も金銀に代り、家蔵に代って :271/369
  美女  それでも、約束の女を寄越せと、海坊主のような黒い人が、夜ごと夜ごと天井を :273/369
民になり下るから娘を許して下さい、と、その海坊主に掛合ってみたのですか。みはしなかろ :274/369
れは活きている手なんです。その手に縋って、海の中に活きられると思ったのです。     :277/369
菊花の雫です。お国では御存じありませんか。海には最上の飲料(のみしろ)です。お気が清 :283/369
女には既に心を許して、秘蔵の酒を飲ませた。海の果、陸の終(おわり)、思って行かれない :310/369


『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

家の町も遠くはないが、ざわめく風の間には、海の音もおどろに寂しく響いている。よく言う :6/257
根に隠れつつ、巽《たつみ》に展《ひら》けて海がある。その反対の、山裾《やますそ》の窪 :7/257
ちた、逞《たくま》しい人間ほどはあろう。荒海の巌礁《がんしょう》に棲《す》み、鱗《う :13/257
    すぐここには見えない、木の鳥居は、海から吹抜けの風を厭《いと》ってか、窪地で :20/257
                「それよ、海から己《おれ》たちをつけて来たものではな :35/257
ここを魚見岬《うおみさき》とも言おう。町も海も一目に見渡さる、と、急に左へ折曲って、 :49/257
         「……諏訪《すわ》――の海――水底《みなそこ》、照らす、小玉石―― :175/257
まんなか》へ舞出して、漁師町の棟を飛んで、海へころげて落ちたろう。          :189/257
の、ひゅうら、ひゅ、ひゅうら、ひゅ、諏訪の海、水底《みなそこ》照らす小玉石、を唄いな :190/257
     「はあ、いまさらにお恥かしい。大海蒼溟《そうめい》に館《やかた》を造る、跋 :236/257
竜神、竜女も、色には迷う験《ため》し候。外海小湖に泥土の鬼畜、怯弱《きょうじゃく》の :236/257
直顕《ちょっけん》せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の曠野《あらの》の五月闇《さつき :245/257
を、北から吹く、逆らう風はものともせねど、海洋の濤《なみ》のみだれに、雨一しきり、ど :248/257


『化鳥』 青空文庫

ものだとさういつておさとしであつたけれど、海ン中だの、山奥だの、私《わたし》の知らな :72/


『木の子説法』 青空文庫

にするように切離せないのだから、しばらく御海容を願いたい。              :5/231
。が、狸穴、我善坊の辺だけに、引潮のあとの海松《みる》に似て、樹林は土地の隅々に残っ :9/231
                「――いり海老《えび》のような顔をして、赤目張《あか :36/231
          お雪さんは、歌磨の絵の海女《あま》のような姿で、鮑《あわび》―― :104/231


『高野聖』 泉鏡花を読む

                  一体東海道掛川の宿から同じ汽車に乗り組んだと覚え :10/622
求めたのであるが、蓋を開けると、ばら/\と海苔が懸つた、五目飯の下等なので。     :12/622
                  見ると海鼠を裂いたやうな目も口もない者ぢやが、動 :141/622
は同形をした、幅が五分、丈が三寸ばかりの山海鼠。                   :141/622
皮が破れて空から火が降るのでもなければ、大海が押被さるのでもない、飛騨国の樹林が蛭に :155/622
    白痴はおなじ処に猶形を存して居る、海月も日にあたらねば解けぬと見える。」   :381/622
が吹出して其風の勢こゝが峠といふ処で忽ち泥海。                    :610/622


『国貞えがく』 青空文庫

この浪が立とうとする用意に、フイと静まった海らしい。                 :21/317
》ると、近山《ちかやま》の背後《うしろ》に海がありそうな雲を隔てて、山の形が歴然《あ :37/317


『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

                葉山一帯の海岸を屏風で劃《くぎ》った、桜山の裾が、見 :14/1510
の浜で、逗子から森戸、葉山をかけて、夏向き海水浴の時分《ころ》、人死《ひとじに》のあ :14/1510
の如き運動をしながら、つくづく不平らしく、海に向って、高慢な舌打して、        :18/1510
岩のその剣の刃を渡るよう。取縋る松の枝の、海を分けて、種々《いろいろ》の波の調べの懸 :27/1510
》、相州三崎まわりをして、秋谷《あきや》の海岸を通った時の事である。         :32/1510
        件の大崩壊《おおくずれ》の海に突出《つきい》でた、獅子王の腹を、太平 :33/1510
ひっく》む状《さま》の巌続《いわつづ》き、海を踏んで突立つ間に、倒《さかさ》に生えか :79/1510
場《わたしば》でも船つきでもござりませぬ。海岸の岩の上や、磯の松の樹の根方から、おお :131/1510
》はなしか、といびつ形《なり》の切溜を、大海でざぶりとゆすいで、その皮づつみに、せせ :134/1510
っては、丁という間に葉山へ着く。ふわふわと海月泳ぎに、船を浮かせながらゆっくり遣るべ :144/1510
               その事よ。四海波静かにて、波も動かぬ時津風、枝を鳴らさ :145/1510
徒《てあい》と申しますものは、………まあ、海へ出て岸をば〓《みまわ》して御覧《ごろう :148/1510
いたで、些《ちっ》とも惜気はござりませぬ。海からでも湧出すように、大気《たいき》にな :162/1510
                 さあ、内海の青畳、座敷へ入ったも同じじゃ、と心が緩 :165/1510
とお船頭は遁《にげ》を打って、帆を掛けて、海の靄へと隠れました。           :175/1510
立てつつ、大崩壊《おおくずれ》に差懸ると、海が変って、太平洋を煽る風に、提灯の蝋が倒 :177/1510
お主筋に当りましての。そのお邸の御用で、東海道の藤沢まで、買物に行ったのでござりまし :184/1510
ませぬ。それでいて――寂然《しん》として、海ばかり動きます耳に響いて、秋谷へ近路のそ :297/1510
音が先へ、颯《さ》あ――とたよりない雨が、海の方へ降って来て、お声は山のうらかけて、 :304/1510
                     海辺《かいへん》は賑かでも、馬車が通って埃 :362/1510
っています。そこで鎌倉を見物にも及ばず、東海道の本筋へ出ようという考えじゃったが、早 :413/1510
       「此方《こっち》の手で、ハイ海へ落ちさっしゃるお日様と、黒門の森に掛っ :517/1510
うこともない。口につけると塩気があるから、海潮がさすのであろう。その川裾のたよりなく :538/1510
らと青田に透く。川下の其方は、藁屋続きに、海が映って空も明い。――水上の奥になるほど :545/1510
》を呼ぶ白旗のように、風のまにまに打靡く。海の方は、暮が遅くて灯《あかり》が疾く、山 :545/1510
見る目も、法師は我ながら遙々《はるばる》と海を視《なが》める思いがした。旅の窶《やつ :670/1510
           「それじゃ、二人で、海山のお物語が出来ますね。」        :673/1510
分の手足で、茶碗を蹴飛ばす、徳利を踏倒す、海嘯《つなみ》だ、と喚きましょう。     :715/1510
るだろう。それにしちゃ吝な食物だ――何々、海の中でも親方となるとかえって小さい物を餌 :793/1510
      「大空の雲を当てに何処となく、海があれば渡り、山があれば越し、里には宿っ :902/1510
  以前は、その形で、正真正銘の熊の胆、と海を渡って売りに来たものがあるそうだけれど :985/1510
おくがた》の夫というが、旅行《たび》さきの海から帰って、その風聞を耳にしますと――こ :1434/1510
すべて》を一室《ひとま》に縮めて、そして、海よりもなお広い、金銀珠玉の御殿とも、宮と :1443/1510


『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

良井の駅は、中央線起点飯田町より一五八哩二海抜三二〇〇尺、と言出すより、膝栗毛を思ふ :5/330
成ると、緋鹿子の扱帯も藁すべで、彩色をした海鼠のやうに、雪にしらけて、ぐつたりと成つ :272/330


『泉鏡花自筆年譜』 泉鏡花を読む

九年一月、旧冬より病を推して、起稿したる「海城発電」「琵琶伝」「化銀杏」三編、一は太 :16/50
年三月、「夜叉ヶ池」演芸倶楽部。十二月、「海神別荘」中央公論。ともに戯曲。おなじく「 :34/50


『日本橋』 青空文庫

          美人のこの姿は、浅草|海苔と、洗髪と、お侠と、婀娜と、(飛んだり :358/2195
これがもし対丈で、赤皮の靴を穿けば、樺太の海賊であるが、腰の下の見すぼらしさで、北海 :964/2195
の海賊であるが、腰の下の見すぼらしさで、北海道の定九郎。               :964/2195
孝の兄さんである。……本名|五十嵐伝吾、北海道産物商会主とある名札を持つから、成程膃 :1002/2195
へ、日本橋から本郷を一飛びに躍り込んだ……海産商会の五十嵐伝吾は、それはまた思いの外 :1653/2195
。そりゃ刃物|措け、棒切一本持たいでも、北海道|釧路の荒土を捏ねた腕だで、この拳一つ :1808/2195
落されたも、お前ん、勿体ないだが、乙姫様に海の底から突出されたも同一ですだ。     :1849/2195
        死んだ媽は家附きで、俺は北海道へ出稼中、堅気に見込みを付けられて、中 :1852/2195
の上だがね。日の丸の旗を立って大船一|艘、海産物積んで、乗出いて、一花咲かせる目的で :1852/2195
とみにゃ、誰でも帯を解く、と奥州、雄鹿島の海女も、日本橋の芸者も同じ女だと、北海道| :1854/2195
鹿島の海女も、日本橋の芸者も同じ女だと、北海道|釧路国の学問だでな。         :1854/2195
ちへ。――今度は日本橋を振出しに、徒歩で東海道に向いますつもり。――以来は知らず、ど :1992/2195


『人魚の祠』 青空文庫

あらうけれども、それは殊更《ことさら》に御海容を願ふとして置く。           :15/122
、もの音のしない様子が、夢と云ふよりか其の海市《かいし》に似て居ました。       :68/122


『婦系図』 青空文庫

茶呑茶碗……不心服な二人《ににん》分……焼海苔《やきのり》にはりはりは心意気ながら、 :325/3954
             主税はむしゃりと海苔を頬張り、               :333/3954
食う処さ。汽車の弁当でも試《み》たまえ、東海道一番だよ。」              :569/3954
皿のあとが、一銚子《ひとちょうし》、玉子に海苔《のり》と来て、おひけとなると可いんだ :589/3954
    「怪しからん。黒と白との、待て? 海老茶と緋縮緬《ひぢりめん》の交換だな。い :669/3954
               雨を帯びたる海棠《かいどう》に、廊下の埃《ほこり》は鎮 :1773/3954
しますから、貴娘《あなた》、暑中休暇には、海水浴にいらしって下さい。         :2045/3954
、支那《しな》だか、朝鮮だか、それとも、北海道か、九州か、どこで観ようと云うのだか、 :2197/3954
望んで、この向は天気が好いと、雲に連なって海が見える、その二階へ、雪洞《ぼんぼり》を :3533/3954
月の表には富士の白妙《しろたえ》、裏は紫、海ある気勢《けはい》。停車場の屋根はきらき :3536/3954
れに驚かされたようになって、大波を打つのは海よ。その、山の根を畝《うね》り、岩に躍り :3778/3954
を……仔細あって……早瀬が留めて、清水港の海水浴に誘ったのである。          :3780/3954
人の帰途《かえり》を迎えて、夜釣をしながら海上を戻る計画。              :3783/3954
れなん、ここに正に、大夫人がなせるごとく、海を行く船の竜頭に在るべき、河野の統領英臣 :3795/3954
する、一場の見霽《みはらし》に上り着いて、海面《うなづら》が、高くその骨組の丈夫な双 :3796/3954
しきものの走るがごとく颯《さ》と暗くなった海に向けて、蝕ある凄《すご》き日の光に、水 :3938/3954
菅子が色ある残懐《なごり》は、滅びたる世の海の底に、珊瑚の砕けしに異ならず。     :3942/3954


『親子そば三人客』 従吾所好

りませんてことさ、フム、」と打棄つたやう、海鼠に首があらば此の形さ。         :71/121


『龍潭譚』 青空文庫

たづらを叱り留めつ。年若く面《おもて》清き海軍の少尉候補生は、薄暮暗碧《はくぼあんぺ :186/186


『春昼』 泉鏡花を読む

――蝶の飛ぶのも帆艇の帆かと見ゆるばかり、海水浴に開けて居るが、右の方は昔ながらの山 :48/628
が開いた眼に似て、恰も大なる蟇の、明け行く海から掻窘んで、谷間に潜む風情である。   :48/628
             あの、西南一帯の海の潮が、浮世の波に白帆を乗せて、此しばら :53/628
心で、それから峡の方へ飛々にまばらになり、海手と二三町が間人家が途絶えて、却つて折曲 :54/628
の方へ瞳が通ひ、足踏みをした女房の胸にも、海の波は映らぬらしい。           :55/628
波の色が蒼う、ひた/\と足許に近づくのは、海を抱いた恁る山の、何処も同じ習である。  :78/628
、織姫の二人の姿は、菜種の花の中ならず、蒼海原に描かれて、浪に泛ぶらむ風情ぞかし。  :82/628
ほどのものは、五十里、百里、三百里、筑紫の海の果からでも、思ひさへ浮んだら、束の間に :93/628
敷居越に腰をかけて、此処からも空に連なる、海の色より、より濃な霞を吸つた。      :116/628
しませう。其の方が、庵室に逗留中、夜分な、海に入つて亡くなりました。」        :273/628
             「穿当てました。海の中でも紅色の鱗は目覚しい。土を穿つて出 :294/628
子にして、やがて船一艘、古物を買ひ込んで、海から薪炭の荷を廻し、追々材木へ手を出しか :307/628
の散歩から返つてござつて、(和尚さん、些と海へ行つて御覧なさいませんか。綺麗な人が居 :338/628
ると、急にむかうが遠目金を嵌めたやうに円い海になつて富士の山が見えますね、)     :340/628
主人が交際ずきで頻と客をしまする処、いづれ海が、何よりの呼物でありますに。此の久能谷 :344/628
小松橋を渡ると、急に遠目金を覗くやうな円い海の硝子へ――ぱつと一杯に映つて、とき色の :345/628
                  客人は海水帽を脱いだばかり、未だ部屋へも上らず、 :348/628
           盛装と云ふ姿だのに、海水帽をうつむけに被つて――近所の人ででも :357/628
と、ぎよつとしたが、垣の外へ出られた姿は、海の方へは行かないで、それ、其の石段を。」 :511/628
れて、柱板敷へひら/\と大きくさす月の影、海の果には入日の雲が焼残つて、ちら/\真紅 :536/628
じい、御堂の縁を離れさへなさらなかつたら、海に溺れるやうなことも起らなんだでございま :536/628
                 両方谷、海の方は、山が切れて、真中の路を汽車が通る :545/628
でが一峰で。それから崕になつて、郡が違ひ、海の趣もかはるのでありますが、其崕の上に、 :547/628
、覗いたが、何処にも、祭礼らしい処はない。海は明く、谷は煙つて。」          :558/628
の上へ出ると、月は曇つて了つたか、それとも海へ落ちたかといふ、一方は今来た路で向うは :562/628
の影がすつきり冴えて、鮮かな薄紅梅。浜か、海の色か、と見る耳許へ、ちやら/\と鳴つた :614/628
                  死骸は海で見つかりました。            :626/628
知れず奥の方へ十里も広がつて響きます。水は海まで続いて居ると申伝へるでありますが、如 :627/628


『春昼後刻』 泉鏡花を読む

跨がねばならぬほど狭いので、心から、一方は海の方へ、一方は橿原の山里へ、一方は来し方 :62/444
つても朱塗の杯になつてゆる/\流れませう。海も真蒼な酒のやうで、空は、」       :189/444
質の彼の杖を、斜めに両手で膝へ取つた。情の海に棹す姿。思はず腕組をして熟と見る。   :203/444
がすく/\出張つて、大きな怪物の土地の神が海の方へ向つて、天地に開いた口の、奥歯へ苗 :238/444
               此の円いのが海、此の三角が山、此の四角いのが田圃だと思 :320/444
       君とまたみるめおひせば四方の海の                    :375/444
              散策子は思はず海の方を屹と見た。波は平かである。青麦につ :377/444
儀をすると、すた/\と駈け出した。後白波に海の方、紅の母衣翩翻として、青麦の根に霞み :388/444
召した山の女王のましますばかり。見渡す限り海の色。浜に引上げた船や、畚や、馬秣のやう :396/444
馬秣のやうに散ばつたかじめの如き、いづれも海に対して、我は顔をするのではないから、固 :396/444
らばと云ふ心で、君と其みるめおひせば四方の海の、水の底へも潜らうと、(ことづけ)をし :403/444
       君とまたみる目おひせば四方の海の……                  :413/444
逆に刎ね返した。手でなぐつて、足で踏むを、海水は稲妻のやうに幼児を包んで其の左右へ飛 :428/444
、小児心にもあまりの嬉しさに、此一幅の春の海に対して、報恩の志であつたといふ。一旦出 :430/444
ンテンテン、波に丁と打込む太鼓、油のやうな海面へ、綾を流して、響くと同時に、水の中に :432/444
、どうしたのか、脱ぎ捨てた袴、着物、脚絆、海草の乾びた状の、あらゆる記念と一緒に、太 :436/444


『天守物語』 泉鏡花を読む

      舌長姥 御意にござります。……海も山もさしわたしに、風でお運び遊ばすゆゑ :141/480


『歌行燈』 従吾所好

ち〉ぢやに、奥座敷の欄干〈てすり〉の外が、海と一所の、大〈いか〉い揖斐の川口ぢや。白 :102/744
めたやうな、まあ、何と言うて可からうやら。海の中に柳があつたら、お月様の影の中へ、身 :130/744
上郡から志摩へ入つて日和山を見物する。……海が凪いだら船を出して、伊良子ヶ崎の海鼠で :402/744
。……海が凪いだら船を出して、伊良子ヶ崎の海鼠で飲もう、何でも五日六日は逗留と云ふつ :402/744
―お客の言ふことを聞かぬ言うて、陸で悪くば海で稼げつて、崕の下の船着から、夜になると :580/744
になると、男衆に捉へられて、小船に積まれて海へ出て、月があつても、島の蔭の暗い処を、 :580/744
葉のやうに浮いて歩行いて、寂〈しん〉とした海の上で……悲しい唄を唄ひます。而してお客 :580/744
ひ〉ぢや、お茶挽いた罰や、と云つて、船から海へ、びしや/\と追下ろして、汐の干た巌へ :580/744
           空には蒼い星ばかり、海の水は皆黒い。暗の夜の血の池に落ちたやう :581/744
く人々、如何に日和山の頂より、志摩の島々、海の凪、霞の池に鶴の舞ふ、あの、麗朗〈うら :583/744
頭が、こんな泣虫を買ふほどなら、伊良子崎の海鼠を蒲団で、弥島の烏賊を遊ぶつて、何の船 :587/744
)と泣くのが本望な。巌の裂目を沖へ通つて、海の果まで響いて欲しい。もう船も去〈い〉ね :589/744
損をしやはれ、此方衆の見る前で、此の女を、海士にして慰まうと、月の良い晩でした。   :592/744
て、膚の紐へなはを付けて、倒〈さかさま〉に海の深みへ沈めます。づん/\づんと沈んでな :593/744
身体を車に引上げて、髪の雫も切らせずに、又海へ突込みました。             :593/744
、)と泣かうか知らぬ、膚の紐になはつけて、海へ入れられるが気安いやうな、と島も海も目 :598/744
けて、海へ入れられるが気安いやうな、と島も海も目に見えて、ふら/\と月の中を、千鳥が :598/744
         尤も、私が、あの、鳥羽の海へ投入れられた、其の身の上も話しました。 :619/744
膏〈あぶら〉を絞つた……あの其の大きな唇が海鼠を干したやうに乾いて来て、舌が硬〈こは :644/744
。若布〈わかめ〉の附焼でも土産に持つて、東海道を這ひ上れ。恩地の台所から音信れたら、 :664/744
浦の上を通つて、日和山を桟敷に、山の上に、海を青畳にして二人で半日。やがて朝日館へ帰 :690/744
るゝ緑の黒髪。水に乱れて、灯に揺めき、畳の海は裳に澄んで、塵も留めぬ舞振かな。    :732/744
謡ひも謡ふ。はた雪叟が自得の秘曲に、桑名の海も、トトと大鼓〈おおかは〉の拍子を添へ、 :739/744


『薬草取』 青空文庫

  この辺《あたり》唯《ただ》なだらかな蒼海原《あおうなばら》、沖へ出たような一面の :32/283
が池《いけ》と申しまして、頂《いただき》に海のような大《おおき》な池がございます。そ :58/283
         いや! 出来た、これなら海を潜《もぐ》っても濡れることではない、さ :181/283


『夜叉ヶ池』 青空文庫

語になった訳だ。――魔法つかいは山を取って海に移す、人間を樹にもする、石にもする、石 :172/564
見越《みこし》、河太郎、獺《かわうそ》に、海坊主、天守におさかべ、化猫は赤手拭《あか :268/564
《つ》く約束を怠って、万一、地《つち》が泥海になったらどうする! 六ヶ村八千と言わる :500/564


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 佐藤和雄(蟻) 2000.9.29