鏡花作品の語彙検索(KWIC)

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『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

て、次第おくり、追続《おいつ》ぎに、おなじ血筋ながら、いつか、黄色な花、白い花、雪な :60/143


『絵本の春』 青空文庫

らと、御前《ごぜん》で壺を開けるとな。……血肝《ちぎも》と思った真赤《まっか》なのが :46/84
死体をあらためる隙《ひま》もなしに、やあ、血みどれになって、まだ動いていまする、とお :46/84


『縁結び』 青空文庫

息が詰《つま》った。養子は、と見ると、目が血走っていようじゃないか。         :170/405
ばん》の袖の燃ゆる色も、紅《くれない》寒き血に見える。                :188/405


『古狢』 青空文庫

た》も飛んで、仰向《あおむ》けに、熱湯が、血ですか、蒼い鬼火でしょうか、玉をやけば紫 :188/310
微塵《みじん》に轢《ひ》かれたんでしょう。血の池で、白魚が湧《わ》いたように、お藻代 :224/310
、落ちる雫《しずく》が下へ溜《たま》って、血だったそうです。」            :225/310
忍ぶ――仮装ですよ。)と云ってね。袋から、血だらけな頬白《ほおじろ》を、(受取ってく :231/310
ひきがえる》だと諺《ことわざ》に言うから、血の頬白は、〓《うぐい》になろうよ。――そ :235/310


『外科室』 青空文庫

           と見れば雪の寒紅梅、血汐《ちしお》は胸よりつと流れて、さと白衣 :109/165


『義血侠血』 青空文庫

      「おまえさんどうもお強い。よく血の道が発《おこ》りませんね。平気なものだ :45/706
の車夫に出会いぬ。行き違いさまに、綱曳きは血声を振り立て、              :61/706
                     血気事を好む徒《てあい》は、応と言うがまま :64/706
の壮語を聞かしめなば、肝胆たちまち破れて、血は耳に迸出《ほとばし》らん。花顔柳腰の人 :318/706
て、幸いにいずくも外さざりければ、あるいは血をも濺《そそ》がざるべからざる至重の責任 :475/706
に直《あたい》するものにして、渠が半身の精血とも謂っつべきなり。渠は換えがたく吝しめ :514/706
びて援《すく》いを求めたりしは、このときの血声なりき。                :521/706
   燈《あかし》を差し向けて、いまだその血に驚く遑《いとま》あらざるに、      :564/706
        「人殺し! 人殺しだ!」と血声を絞りぬ。               :583/706
糸は生まれてよりいまだかばかりおびただしき血汐を見ざりき。一坪の畳は全く朱《あけ》に :585/706
緊めてのけざまに顛覆《うちかえ》りたるが、血塗《ちまぶ》れの額越《ひたいご》しに、半 :585/706
しき》を見ざりしなり。かばかりおびただしき血汐! かかるあさましき最期! こはこれ何 :586/706


『五大力』 従吾所好

        頼むやうにして断つた。車は血の道に障る、と云つてね。」        :126/1139
                「矢張り、血の道が内攻したんだと言ふ――疝気の虫は目 :378/1139
腕へ怪我をした。……車で帰つて来た時は半面血だらけで、家中が気を打つたが、医師が来て :556/1139
と負惜みのやうに洒落らしく叔父が言ふのも、血みどろの、泥まぶれで、身体がぶる/\と震 :559/1139
着の、紋ほどは年紀の違はぬ……男振も揃つた血気盛り。いづれも浅草蔵前の大師匠取立てで :567/1139
くんだ、頬から鼻の下をね……其処へ、縦横に血の滲んだ擦剥傷が傷々しく見えるぢやないか :586/1139
り、ほんのり浮く。頬のあたり薄りと玉の雫の血が通つて、死顔ながら莞爾した、白歯もちら :763/1139
もあるかと思ふ、激しい動悸で、其の動悸で、血も肉もふるひ落して、脳の奥から、トン/\ :969/1139
いて、けちな非望〈むほん〉の連判状に、針で血判を仕兼ねぬ野郎だ。」          :1029/1139


『半島一奇抄』 青空文庫

しょう。宮の森を黒髪にして、ちょうど水脈の血に揺らぐのが真白《まっしろ》な胸に当るん :60/129
が、ぬかし方が頭横柄《ずおうへい》で。……血の気の多い漁師です、癪《しゃく》に触った :90/129


『蛇くひ』 青空文庫

を推しても知る可きのみ。生ける犬を屠りて鮮血を啜ること、美しく咲ける花を蹂躙すること :14/35


『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

叔母はさる頃病気《やまひ》に懸り、一時に吐血して其夕敢なく逝《みまか》りぬ。今より想 :18/219
《てあら》き折檻に、無慙や身内の皮は裂け、血に染みて、紫色に腫れたる痕も多かりけり。 :21/219
て肩や腰の辺《あたり》には、見るもいぶせき血の汚点《にじみ》たるを、乱次《しどけ》無 :54/219
つ》て置いて下さらないか、衣服《きもの》に血が附《つい》てたり、おど/\して居る処を :57/219
る下枝は消えてあらざりけり。得三は顛倒して血眼になりぬ。               :70/219
    途端にがたひしと戸を開けて、得三は血眼に、此室に駈け込み、「此の方は奈何《ど :76/219
、非義非道を以つて有名《なだか》く、人の活血《いきち》を火吸器《すひふくべ》と渾名《 :78/219
と狂気《きちがひ》にして引張つて参ります。血だらけのあの姿ぢや誰だつて狂気といふこと :79/219
。押開きて月に翳せば、鮮々《なま/\》しき血汐にて左《さ》の文字を認《したゝ》めたり :84/219
びし物にはあらじ。思ふに指など喰ひ切りて其血を其手ににじり書き、句の終りには夥しく血 :85/219
其血を其手ににじり書き、句の終りには夥しく血のぬら/\と流れたるを見て、泰助はほろり :85/219
な御婦人だね。「些《ちと》気が狂《ふ》れて血相変り、取乱しては居るけれど、すらつとし :103/219
思へども、敵は多し身は単つ、湍《はや》るは血気の不得策、今いふ如き情実なれば、よしや :113/219
ひし》と人形に抱き附きて、「おつかさん!と血を絞る声。世に無き母に救《すくひ》を呼び :122/219
                  十四 血の痕                   :135/219
の内を見廻《めぐ》るに、畳に附《つき》たる血の痕あり。一箇処のみか二三箇処。此処彼処 :137/219
けり。こは怪《あやし》やと不気味ながら、其血の痕を拾ひ行くに、墓原を通りて竹薮を潜り :137/219
な》なれば、此儘にて寐入らむは口惜し。この血の跡を慕ひ行かば其行先を突留め得べきが、 :138/219
て威勢は好からむなど、語り合ひつゝ畦伝ひ、血の痕を踏んで行く程に、雪の下に近づきぬ。 :141/219
唱ひ連れ、赤城の裏手へ来たりしが、此処にて血の痕途断《とぎ》れたり。         :142/219
渠は立竦みになりてぶる/\と震へたるが、鮮血《なまち》たら/\と頬に流れつ、抱きたる :149/219
に恨あれば、其頭蓋骨は砕かれけむ髪の毛に黒血凝《かたま》りつきて、頬より胸に鮮血《な :152/219
毛に黒血凝《かたま》りつきて、頬より胸に鮮血《なまち》迸り眼を塞ぎ歯を切《しば》り、 :152/219
。「私どもの部屋から溢《こぼ》れて続いてる血の痕が、お邸の裏手で止まつて居ります。  :153/219
の方を、「はて、せはしない今行きます。と出血休《と》まざる小指の血にて、我掌の汚れた :160/219
ない今行きます。と出血休《と》まざる小指の血にて、我掌の汚れたるにぞ、かつぷと唾を吐 :160/219
んや、ならねえ。此駄平、言ひ出したからは、血を絞つても取らねば帰らぬ。きり/\此処へ :165/219
を、「乞食め、動くな。と振離され、得三忽ち血相変り、高田の帯際無手《むず》と掴みて、 :165/219
は顔に溢《こぼ》れ懸る黒髪を颯と振分け、眼血走り、「得三様《さん》、何《どう》しても :176/219
が討つて貰ひたい。と泣き入る涙も尽き果てて血を絞らむばかりなり。「次三《じさ》もな我 :176/219
より》よかるべしと小指一節喰ひ切つて、彼の血の痕を赤城家の裏口まで印し置きて、再び件 :190/219
なり。)浴衣の裳《すそ》を引裂きて、小指の血にて文字したゝめ、かゝる用にもたゝむかと :190/219
何奴だ。出合へ出合へ。といひながら、得三は血眼にて人形室へ駈け戻り、と見れば下枝は被 :199/219
         彼も此も一瞬時、得三は眼血走り、髪逆立ちて駈込みつ、猶予《ためら》 :204/219
狼狽したりしが、予て携ふる絵具にて、手早く血汐を装ひて、第三発の放たれしを、避けつゝ :209/219
見れば、老婆録は得三が乱心の手に屠られて、血に染みて死し居たり。更に進んで二階に上れ :218/219


『海神別荘』 華・成田屋

襲撃って、黒髪を吸い、白き乳を裂き、美しい血を呑もうとするから、守備のために、旅行さ :108/369
かみあ)いましても、薄紙一重透きます内は、血にも肉にも障りません。          :200/369
              女房  お床が血に汚れはいたしませんか。         :340/369
首を取って刃を腕(かいな)に引く、一線の紅血(こうけつ)、玉盞(ぎょくさん)に滴る。 :347/369
返す切尖(きっさき)に自から腕を引く、紫の血、玉盞に滴る。)飲め、呑もう。      :347/369
                あれ見い、血を取かわして飲んだと思うと、お前の故郷( :349/369
らの霜に、一際色が冴えました。若様と奥様の血の俤(おもかげ)でございます。      :356/369


『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

》、鰭《ひれ》の下から、たらたらと流るる鮮血《なまち》が、雨路《あまみち》に滴って、 :12/257
と》った下郎が、蒼黒《あおぐろ》い魚身を、血に底光りしつつ、ずしずしと揺られていた。 :13/257
                   この血だらけの魚の現世《うつしよ》の状《さま》 :19/257
ま》と出て、横面《よこづら》を鰭《ひれ》の血で縫おうとした。             :22/257
ずく》の垂るのが、蓴菜《じゅんさい》に似た血のかたまりの、いまも流るるようである。  :82/257
あの、ご覧《ろう》じ、石段下を一杯に倒れた血みどろの大魚《おおうお》を、雲の中から、 :151/257


『化鳥』 青空文庫

通《なきどほ》しで、咽喉《のど》がかれて、血を吐いて、消えてしまいさうになつてる処を :108/
慰《なぐさみ》にされて、嬉しがられて、眼が血走《ちばし》つて、髪が動いて、唇が破《や :108/


『木の子説法』 青空文庫

絵入雑誌を拡げた、あの赤い絵の具が、腹から血ではないかと、ぞっとしたほど、さし俯向《 :135/231
朶《みみたぶ》と、咽喉《のど》に、薄紅梅の血が潮《さ》した。             :160/231
震動、瓦《かわら》落ち、石崩れ、壁落つる、血煙の裡《うち》に、一樹が我に返った時は、 :169/231
   「若いお父さんに骨をお貰い。母さんが血をあげる。」               :223/231
絞った。ことこと、ひちゃひちゃ、骨なし子の血を吸う音が、舞台から響いた。が、子の口と :224/231
とし》の事である。この子は、母の乳が、肉と血を与えた。いま一樹の手に、ふっくりと、且 :229/231


『高野聖』 泉鏡花を読む

つて、へい難有う様で、を喰らはす、頭痛持は血が上るほど耐へ切れないのが、例の下を向い :26/622
つて、やつと連れて戻つた位でがす。御坊様も血気に逸つて近道をしてはなりましねえぞ、草 :90/622
取つて懸つた、侠気があつたのではござらぬ、血気に逸つたでは固よりない、今申したやうで :94/622
と下つた、其の放れた指の尖から真赤な美しい血が垂々と出たから、吃驚して目の下へ指をつ :141/622
から縮みながら、ぶく/\と太つて行くのは生血をしたゝかに吸込む所為で、濁つた黒い滑ら :142/622
かな肌に茶褐色の縞をもつた、疣胡瓜のやうな血を取る動物、比奴は蛭ぢやよ。       :142/622
つた、然うして活きてると思ふだけ脈を打つて血を吸ふやうな、思ひなしか一ツ一ツ伸縮をす :150/622
ちつけて、永い久しい間に何のくらい何斛かの血を吸ふと、其処でこの虫の望が叶ふ。其の時 :151/622
時はありつたけの蛭が不残吸つただけの人間の血を吐出すと、其がために土がとけて山一ツ一 :151/622
吐出すと、其がために土がとけて山一ツ一面に血と泥との大沼にかはるであらう、其と同時に :151/622
国の樹林が蛭になるのが最初で、しまひには皆血と泥の中に筋の黒い虫が泳ぐ、其が代がはり :155/622
一足でも前へ進んで、世間の者が夢にも知らぬ血と泥の大沼の片端でも見て置かうと、然う覚 :157/622
はありませんか。あたりの山では処々茅蜩殿、血と泥の大沼にならうといふ森を控へて鳴いて :161/622
富山の薬売は何うしたらう、那の様子では疾に血になつて泥沼に。皮ばかりの死骸は森の中の :163/622
ぢやが、理窟をいふと恁うではあるまい、私の血が沸いたせゐか、婦人の温気か、手で洗つて :309/622
逗留をして居つたが、かほどの悩は大事ぢや、血も大分に出さねばならぬ、殊に子供、手を下 :597/622
鶏卵を吸はせられる汁も、今に療治の時残らず血になつて出ることと推量して、べそを掻いて :601/622
のに、何処を切違へたか、それから流れ出した血が留まらず、見る/\内に色が変つて、危く :604/622
神の扶けか漸う生命は取留まり、三日ばかりで血も留まつたが、到頭腰がぬけた、固より不具 :605/622


『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

》されそうな声を出して、苦しい、苦しい、鼻血が出るわ、目がまうわ、天窓《あたま》を上 :204/1510
み》よりは幅が広く、見上げるような天井に、血の足痕もさて着いてはおらぬが、雨垂《あま :645/1510
初の内、貴方が御逗留というのに元気づいて、血気な村の若い者が、三人五人、夜食の惣菜も :684/1510
して、咽喉《のど》の乾いた処へ、その匂い。血腥いより堪りかねて、縁側を開けて、私が一 :811/1510
そうなので、宰八が嘲ると、うんにゃ足の裏が血だらけじゃ、歩行《あるく》と痕がつく、と :1182/1510
が、坊さまの裾あたり宙を歩行《ある》いて、血だらけだ、という苦虫が馬の這身《はいみ》 :1182/1510
ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々《だらだら》と血を吐くのが、咽喉《のど》に懸り、胸を染め :1202/1510
くと、口も動いて、莞爾する、……その唇から血が流れる。                :1204/1510
足もまだ粘々《ねばねば》する、手はこの通り血だらけじゃ、と戦いたが、行燈に透かすと夜 :1207/1510
右衛門が見た御新姐のように、この手が触って血を吐きながら、莞爾としたらどうしよう。  :1223/1510
        が、雨垂《あまだれ》とも、血を吸《すい》膨れた蚊が一ツ倒れた音とも、 :1230/1510
る恐る燈の影に透したが、幸《さいわい》に、血の点滴《したたり》ではない。       :1231/1510
僧、御身は苦悶し、煩乱し、七転八倒して黒き血のかたまりを吐くじゃ。」         :1362/1510
                    と血を分けぬ、男と女は、天にも地にも許さぬ掟 :1415/1510
しい、お優しい、あの御顔を見ましては、恋の血汐は葉に染めても、秋のあの字も、明さんの :1420/1510
って響くよう、互の口へ出ぬ声は、膚に波立つ血汐となって、聞えぬ耳に調《しらべ》を通わ :1444/1510


『眉かくしの霊』 泉鏡花を読む

ツと言つた――その何なんですよ。芸妓の口が血だらけに成つて居たんだとさ、生々とした半 :70/330
成つて居たんだとさ、生々とした半熟の小鳥の血です、……と此の話をしながら、うつかりし :70/330
は拙くつても、何となく不気味だね。其の口が血だらけなんだ。」             :72/330
うなので、ふと思出したのは、今の芸妓の口が血の一件でね。しかし私は坊さんでも、精進で :90/330
どんな拍子かで、ひよいと立ちでもした時口が血に成つて首が上へ出ると……野郎で此の面だ :90/330
曽川の瀬の凄いのも、ものゝ数ともせず、酒の血と、獣の皮とで、ほか/\して三階にぐつす :109/330
す石垣を這つて枯残つた小さな蔦の紅の、鶫の血のしたゝる如きのを見るにつけても。……急 :118/330
            バスケツトの、蔦の血を見るにつけても、青い呼吸をついてぐつた :233/330
しやると、その唇から糸のやうに三條に分れた血が垂れました。              :320/330
方が、お身体を裂く思がしました。胸に溜つた血は暖く流れましたのに――         :321/330


『泉鏡花自筆年譜』 泉鏡花を読む

して上京す。十月、「予備兵」つづいて、「義血侠血」読売新聞に出づ。ともに帰郷中、翌日 :14/50
上京す。十月、「予備兵」つづいて、「義血侠血」読売新聞に出づ。ともに帰郷中、翌日の米 :14/50


『日本橋』 青空文庫

、そうした容体になってから、叔母とは云うが血筋ではない。父親は台湾とやら所在分らず、 :300/2195
り出づるほどでもない、殺された妾の怨恨で、血の流れた床下の土から青々とした竹が生える :317/2195
った、その癖、小児のような緊の無い口をした血気|壮の漢である。            :997/2195
の縁起棚の傍で見た事があるというだけ、その血相と、意気込みで、様子を悟って、爺さんは :1033/2195
乳の下、鳩尾、窪みに陰の映すあたり、鮮紅に血汐が染むように見えた――俎に出刃を控えて :1266/2195
      これと斉しく、どろんとしつつも血走った眼を、白眼勝に仰向いて、赤熊の筒袖 :1759/2195
も言わんで。……こ、こ、この橋板に摺付けて血を出いて願いたいども、額の厚ぼったい事だ :1935/2195
たい事だけが、我が身で分る外何にも分らん。血の出ないのが口惜いですだ。」と頭を釘に、 :1935/2195
て出た。乳の下を裂いたか、とハッと思う、鮮血を滴らすばかり胸に据えたは、宵に着て寝た :1970/2195
戸に立ったのは、飛込もうとしたのではない。血迷うばかりの、清葉を遮って、突戻すためで :2033/2195
              眼は火のごとく血走りながら、厚い唇は泥のごとく緊なく緩ん :2057/2195
の勢で留まっていたか。この時、額から垂々と血が流れたが、それには構わないで、ほとんど :2062/2195
の魂のごとくに挫けて、真紅の雛芥子は処女の血のごとく、めらめらと颯と散る。      :2123/2195
              火の影ならず、血だらけの抜刀を提げた、半裸体の大漢が、途 :2132/2195
らしい曲った刀が、剥きづらかったか、あわれ血迷って、足で白刃を、土間へ圧当て蹈延ばし :2136/2195


『人魚の祠』 青空文庫

めら》かな胸の衝《つ》と張る乳の下に、星の血なるが如き一雫の鮮紅《からくれなゐ》。糸 :108/122
くするらしい寂《しづ》かな水の輪が浮いて、血汐の綿がすら/\と碧を曳いて漾《たゞよ》 :108/122
              (あれを見い、血の形が字ぢやらうが、何と読むかい。)   :109/122


『婦系図』 青空文庫

   「うう、まあ……」と対手《あいて》の血相もあり、もじもじする。         :746/3954
す、彼奴《あいつ》に対しましては、」と目の血走るまで意気込んだが、後暗い身の明《あか :1417/3954
     と赫《かっ》となって、この時やや血の色が眉宇《びう》に浮んだ。       :1475/3954
                    「血迷うな。腕があって婿養子になる、女学校で :1477/3954
                   胸の血汐《ちしお》の通うのが、波打って、風に戦 :2430/3954
だわね、と硝子杯《コップ》を火に翳してその血汐《ちしお》のごとき紅を眉に宿して、大し :2677/3954
              と余り白くて、血の通るのは覚束《おぼつか》ない頸《うなじ :2820/3954
く熟《じっ》と圧えた、浴衣に映る紫栄えて、血を吐く胸の美しさよ。           :2879/3954
》す顔を、斜めに振仰いだ、蒼白い姉の顔に、血が上《のぼ》って、屹となったが、寂しく笑 :3262/3954
》いたが、ビイルを呷《あお》ったらしい。充血した顔の、額に顱割《はちわれ》のある、髯 :3594/3954
     と云うた眼《まなこ》が、目金越に血走った。                 :3596/3954
                英臣の目は血走った。                 :3901/3954


『龍潭譚』 青空文庫

》を射たるほどこそあれ、いかなるはずみにか血汐《ちしお》さとほとばしりぬ。眼もくれた :138/186
かりぞ淋漓《りんり》としてながれつたへる、血汐《ちしお》のくれなゐ衣《きぬ》をそめつ :138/186
て半身をひたし尽しぬ。おさへたるわが手には血の色つかぬに、燈《ともしび》にすかす指の :138/186
ともしび》にすかす指のなかの紅なるは、人の血の染みたる色にはあらず、訝しく撫で試むる :138/186
らず、訝しく撫で試むる掌《たなそこ》のその血汐にはぬれもこそせね、こころづきて見定む :138/186
取返したが、縄を解いてはならんぞ。もう眼が血走つてゐて、すきがあると駈け出すぢや。魔 :158/186
む。ひしと取籠めて庭にも出さで日を過しぬ。血色わるくなりて痩せもしつとて、姉上のきづ :168/186
る事なかれ、うつくしき人の夢や驚かさむと、血気なる友のいたづらを叱り留めつ。年若く面 :186/186


『春昼』 泉鏡花を読む

に過ぎないと言ふんですか。人間だつて、皮、血、肉、五臓、六腑、そんなもので束ねあげて :186/628
、も一ツの甕の朱の方だつて、手を押つけりや血になるだ、なぞと、ひそ/\話を遣るのでご :312/628
る。緋の長襦袢ばかりのもある。頬のあたりに血のたれて居るのもある。縛られて居るのもあ :590/628
、見て居たかつたさうです。勿論、肉は躍り、血は湧いてな。               :607/628


『春昼後刻』 泉鏡花を読む

ませう。貴下、此のまあ麗かな、樹も、草も、血があれば湧くんでせう。朱の色した日の光に :189/444
るやうですわ。苦しくもなく、切なくもなく、血を絞られるやうですわ。柔かな木の葉の尖で :208/444


『天守物語』 泉鏡花を読む

りこぼ》いて、此は汁が出ました。(その首、血だらけ)これ、姥殿、姥殿。        :155/480
《み》て)気遣《きづか》ひには及びません、血だらけなは、尚ほおいしからう。      :158/480
》に開け、三尺ばかりの長き舌にて生首の顔の血をなめる)汚穢《むさ》や、(ぺろ/\)汚 :159/480
この人はね、この姫路の城の主、播磨守とは、血を分けた兄弟だよ。            :173/480
       図書、もとゞりを放ち、衣服に血を浴ぶ。刀を振つて階子《はしご》の口に、 :402/480
を逆《さかしま》にして、其の婦《をんな》の血を舐め/\、目から涙を流いたと云ふが触出 :425/480


『歌行燈』 従吾所好

く。胸は冷い、耳は熱い。肉〈み〉は燃える、血は冷える。あつ、」と言つて、両手を落した :394/744
には蒼い星ばかり、海の水は皆黒い。暗の夜の血の池に落ちたやうで、あゝ、生きて居るか… :581/744
切めて、慌しく取つて蔽うた、手拭に、かつと血を吐いたが、かなぐり棄てると、右手を掴ん :728/744


『夜行巡査』 青空文庫

い。おまえのきらいな、いっしょになると生き血を吸われるような人間でな、たとえばかった :96/164


『薬草取』 青空文庫

な障礙《しょうがい》に出遇って、今にも娘が血に染まって、私は取って殺さりょうと、幾度 :238/283


『夜叉ヶ池』 青空文庫

》の尻まで持込むわ。まだしもよ。お供物だと血迷っての、犬の首、猫の頭、目を剥《む》き :287/564
、八裂《やつざき》にされようと、恋しい人を血に染めて、燃えあこがるる魂は、幽《かすか :416/564
ふわと軽く詰め寄り、コツコツと杖を叩いて)血迷うな! たわけも可《い》い加減にしろ、 :513/564
         晃 (額に傷《きずつ》き血を圧《おさ》えて)あッ。(と鎌を取落す。 :533/564


『湯島の境内』 青空文庫

らだ》を打砕くような思いがして、俺は冷汗に血が交った。な、こんな思《おもい》をするん :139/205
    早瀬 これ、飛んでもない、お前は、血相変えて、勿体《もったい》ない、意地で先 :150/205
                  早瀬 血を吐く思いで俺も云った。小芳さんも、傍《 :152/205


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 佐藤和雄(蟻) 2000.9.29